2024年8月12日
アンディ・ウィアー / プロジェクト・ヘイル・メアリー(上・下)
「プロジェクト・ヘイル・メアリー」読了。
すっかりアンディ・ウィアーの作品に魅了されてます。
しかし、今回の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は感想が書きづらい......。
これでもかと色々な仕掛けが詰め込まれているので、ちょっとでも触れたら初見の面白さをそこなってしまいそうで。
それでも、少しだけ触れてみると、
宇宙船の中で長期スリープから目覚めた主人公。
最初は自分の名前すらわからず、ロボットアームにお世話される状態。
そして傍らには、スリープの機械に入ったままの2体の死体......。
徐々に記憶が明らかになっていき、自分に課せられた使命を思い出していく――。
といったところで、これだけでも先が楽しみになるんだけれど、読み進めていくうちに次々と出てくるトラブルと、あちこちに散りばめられた仕掛けで、どんどんと読み進んでしまいました。
極限状態の中で、結局頼れるのは己の経験からくる想像力と創造力というのは、「火星の人」にも通じるところがありながら、「火星の人」よりもスケールが壮大で、最後の最後まで手に汗握りながら楽しみました。
......はぁ、楽しかった。
最後の1ページまで、余すところなく楽しめた作品でした。
今のところ、刊行されているアンディ・ウィアー作品はここまで。
次回作がいったいどんなアプローチで来るのか、待ち遠しいです。
投稿者 utsuho : 21:30 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2024年6月30日
アンディ・ウィアー / アルテミス(上・下)
アンディー・ウィアーの「火星の人」が面白かったので、続けて「アルテミス」を読んでみた。
今度は、月の唯一の都市である「アルテミス」を舞台に、合法・非合法を問わず運び屋の仕事をしているジャズ・バシャラが主人公。
舞い込んできた一攫千金の汚れ仕事を請け負ったものの、最後の一歩で失敗して...。
前作「火星の人」とは趣きが違うけれど、やはり次から次へと転がるように加速していく事態と、ところどろこに散りばめられた月の経済社会、登場人物たちのユーモアで、今回も一気に読み進めてしまいました。
そして、月社会の描写がいかにもありそうで、想像力が掻き立てられます。
ジャズの軽快な考え方となんだかんだと協力してくれる人たち、ちょっとしたサスペンス、全体としてのバランスが良くて、肩の力を抜いて楽しめる作品です。
投稿者 utsuho : 21:22 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2024年4月21日
アンディ・ウィアー / 火星の人(上・下)

アンディー・ウィアーの「火星の人」読了。
珍しく妻が勧めてきたこの作品、ついつい惹き込まれて一気に読み切ってしまいました。
火星探査のミッションで猛烈な砂嵐に見舞われ、折れたアンテナに直撃されたワトニー。そしてワトニーを残して他のクルー達は火星を去ることを決断した。
ところが、ワトニーは奇跡的に一命を取り留めていた。
ワトニーは持てるすべての知識と技術と残された物資を駆使して、火星での生き残るために動いていく...。
もう、次から次へと起こる難題に立ち向かっていきながら、いつもユーモアを垂れ流すワトニーの人柄が良い!!
上手くいったぞと思った次の瞬間に大爆発が起きたり、残されたクルーの私物にグチをこぼしたり、ワトニーが生きていると判明した時の地球側のパニックだったり、いろんな要素が相当なリアリティを持っていて、いかにもありそうなシーンばかりで脳裏に映像が浮かぶようでした。
文章のテンポも良くて、これは原作もそうだろうけど訳者の力も大きいのかな。
難しいことを考えずにハラハラしながら楽しめる近未来SFの傑作です。
投稿者 utsuho : 00:11 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2018年3月 4日
高田大介 / 図書館の魔女 (一)~(四)
ふう、一気に読み終わってしまった......。
心がふるえるってこういうことを言うんだなと、久しぶりに思いました。
山深い鍛冶の村に暮らすキリヒトが村を出て、「一の谷」王都にそびえ「高い塔」と呼ばれる世界最古の図書館に仕えるところから話は始まります。
図書館を統べるマツリカはまだ十代半ばに過ぎない娘でありながら、「一の谷」の政界を左右するほどの識見をそなえ、畏敬をもって「魔女」と呼ばれる存在。
感覚の鋭敏なキリヒトが声を持たないマツリカの声となり、市中で耳にしたささいな会話から国を揺るがす事態が動き始めていく......。
マツリカとキリヒトが言葉をかわしていくことで親密さが増していく様子、言葉ひとつで人の思惑だけでなく国々の情勢をも解きほぐしていく展開、脇役や敵役まで際立った登場人物たち、どこを切り取っても心の踊るような物語でした。
そして、屋台でパクつく春巻の香ばしさ、自然の生み出す鉱石の造形、川面にきらめく魚の姿など、些細な情景をとてつもなく細かく丁寧に書きながら、その丁寧さが時間を阻害することなく流れるように読み進めてしまえる。
まだ物語の動き出していないところから、その独特な文章に引き込まれてしまいました。
この世界、仮想世界でありながら、囲碁と将棋が遊ばれていて、さらに「駄目を詰める」「駒を突き捨てる」なんていう言い回しもさらりと出てきます。
また、物語の根幹をなす「変拍子の武勲詩」にも、藤野由佳さんのライブで出会ったブルガリアの民族音楽を思い出すなど、自分自身の経験を照らし合わせながら、語彙や想像力の限界まで使って楽しめました。
古今の文物を集めた図書館を舞台にしているだけあって、作品の中で描かれる分野も本当に多岐にわたっています。きっと他の読者は自分とは異なるところに心を惹かれているんだろうな......とも思いました。
ああ、自分の語彙が貧弱で、この面白さを表現しきれないのがもどかしいな......。
「言葉」を武器にするマツリカと同じく、作者もまた自身の言葉を賭して書き上げたことが伝わってくる作品です。
投稿者 utsuho : 10:58 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2013年5月30日
近藤史恵 / キアズマ
近藤史恵さんの新刊「キアズマ」を読み終わりました。
自転車ロードレースの世界を舞台にした「サクリファイス」シリーズの新刊ですが、これまでとは登場人物も舞台も変わって、大学生の自転車部を描いたものです。
それぞれに抱えたものや、想いが絡まりあって、熱いながらも、どこか重苦しさもただよう作品でした。
「サクリファイス」で登場したあの人もチラリと出ていたりして、いずれ世界が重なることもあるのかなと思うと、これからの展開が楽しみです。
投稿者 utsuho : 23:49 コメント (0) トラックバック (0) | ロードレース,読書
2013年5月19日
米津一成 / 追い風ライダー
米津一成さんの「追い風ライダー」を読み終わりました。
ロングライド、レース、ブルペ……と、自転車をテーマにした短編集です。
それぞれのエピソードがゆるくつながっている様子は、まるで自転車で走っていてすれ違ったり軽く挨拶したりする感じに似ていると思いました。
本気で楽しむと言ってもいろいろな楽しみ方のある自転車という乗り物が、この本を読んでますます好きになりました。
投稿者 utsuho : 22:59 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2013年2月17日
長沼毅 / 宇宙でいちばん面白い脳がしびれる科学の時間
長沼毅さんの「宇宙でいちばん面白い脳がしびれる科学の時間」を読み終わりました。
この間の新居昭乃さんとのトークイベントが面白かったので、著作を手にとってみました。
「宇宙の時間」「地球の時間」「生き物の時間」「テクノロジーの時間」と科学全般にわたって幅広く話しています。
初めて知ったことなどもたくさんあったけど、この本から得たものは「知識の底上げ」と「考えるための手がかり」だなぁと思いました。
例えば、長沼さんは人間とチンパンジーが持つ「同種殺し」のDNAを「凶暴性」と言っていますが、私自身は、「そのDNAは「不安」を強く感じるDNAでもあるのではないかな」と思ったり。
ちょっと驚いたのは、宇宙では廃熱ができないということです。
「宇宙空間は絶対零度の真空世界」という印象が強かったのですが、そもそも真空だったら熱を交換する相手がいないんですね、なるほど~。
いろいろなことに対して、うなずきつつ首をひねりつつ、言葉もわかりやすくてとても楽しめました。
投稿者 utsuho : 23:32 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2013年1月26日
近藤史恵 / カナリヤは眠れない
近藤史恵さんの「カナリヤは眠れない」を読み終わりました。
施術を通して患者の身体の声を聴く、変わり者の整体師・合田力。
摂食障害・セックス依存症・買い物依存症といった、現実の問題と、そこに付け入ってくる悪意の存在。
現代社会ならどこででも起こりうるものを扱いながら、そこまで深く暗いところには手を入れず、登場人物の皆が自分のできる範囲でなんとかしようとあがく。
話のテンポも調度良くて、一気に楽しんでしまいました。
史恵さんは変わり者の探偵役を描くのがとても上手です。
合田力も、「ビストロ パ・マル」シリーズの三舟シェフに通じるものがあります。
投稿者 utsuho : 23:51 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2012年8月29日
有川浩 / 空飛ぶ広報室
有川浩さんの「空飛ぶ広報室」を読み終わりました。
「自衛隊の広報活動」にスポットを当てた作品は新鮮でした。
きっと有川さんはものすごい量の取材を行なっているんだろうな、ということが、文章の端々から感じられます。
しかしまあ、出てくる人たちの誰も彼もがねじくれちゃって、大変なこと。
それでも皆さんの前向きにほどけていく様子が、読んでいて心地いいです。
そして、最後の「あの日の松島」。
やっぱりこれを書けるのは有川さんだからだなあ、と思います。
投稿者 utsuho : 23:15 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2011年8月 8日
近藤史恵 / サヴァイヴ
近藤史恵さんの「サヴァイヴ」を読み終わりました。
「サクリファイス」の世界を舞台にした短編集です。
「老ビプネンの腹の中」では、パリ~ルーベが舞台です。
「クラシックの女王」または「北の地獄」と呼ばれるパリ~ルーベの臨場感、読んでいるこちらも興奮します。
そして、「スピードの果て」では伊庭が世界選手権に挑戦します。
このニ編は、現実でのパリ~ルーベを完走した別府選手や、世界選手権のスプリントに絡んで9位をもぎ取った新城選手のことを、あらかじめ知っていたかのようなタイミングで、とても嬉しくなります。
他の短編も、登場人物それぞれの思惑がよく絡んでいて楽しかったです。
近藤さんは淡々とした丁寧な筆致で物語を綴るのですが、ロードレースの持つ魅力がよく描き出されている作品です。
投稿者 utsuho : 23:55 コメント (0) トラックバック (0) | ロードレース,読書








