2005年2月10日
長野まゆみ / 鉱石倶楽部
長野まゆみ作品といえば、食べ物や小道具に魅力的なものが多く登場します。鉱石もそういった小道具として、あるいは色や質感のたとえとして出てくるわけですが、この本は、そんな長野視点で見た鉱石のお話がぎゅっとつまった本です。
石好きで、食い意地の張った人なら、お菓子のような鉱石を見て「あ、美味しそう」と思ったことが一度はあると思います。長野さんもそういう人らしく、読んでいるだけでよだれの出てきそうなお話ばかりです。アメシストの露から作られた果実酒とか、柘榴石の砂糖漬けとか、一度味わってみたいものです。
一緒に添えられている写真も、奇麗なものばかりで、ぱらぱらと眺めているだけでも楽しめます。アクアマリンの写真なんて、本当にゼラチン質でぷるぷるしていそう……。
石好きの人にはたまらない、長野さんの鉱石への愛情にあふれた一冊です。
投稿者 utsuho : 22:28 コメント (2) トラックバック (1) | 読書,鉱石
2005年2月 5日
気になる「猫屋かふぇ」
ふと、あるところで見かけた「猫屋かふぇ」が非常に気になってます。
何とこのお店、長野まゆみさんの作品に出てくる食べ物を実際に出してくれるお店というではありませんか。
メニュのページを見てみると、「『夜のプロキオン』より」とあって、その内容が
■若鶏の香草焼き 天使の枕 添え
■ほうれん草とレンズ豆のスープ
■天使の枕麺麭
■陶器の人形入りドーナツ
■珈琲かショコラ
あはは、是非とも行ってみたい。
その前に、長野作品は5年くらい前に読んでいたけど、また読み返してみなくては。
詳しくは、「猫屋かふぇ」のページを見てもらうとして、毎月第2土曜が「猫屋かふぇ」の日で、第4日曜日とその前日の土曜日は普通の喫茶店としてやっているようですね(それ以外の日は閉まっているのかな)。
今月の第2土曜は用事があるので無理だけど、来月かその次の月か、近いうちに行きたいなあ。
投稿者 utsuho : 12:25 コメント (0) トラックバック (0) | 日常と非日常,読書
2005年2月 4日
菅浩江 / 永遠の森 博物館惑星
菅浩江「永遠の森 博物館惑星」を読み終わりました。
正直なところ、感想は「物足りない……」でした。
菅浩江さんの作品を読むのはこれが初めてだったので、ちょっとつかみきれていないところがあるのかもしれませんが、求めていたものとは違ったなあ。
芸術という観点からSFを描くのはいい試みだと思うし、話の内容にしても女性らしい優しさに満ちていて、なかなか雰囲気はいいのですが、全体的にバランスが悪いというか、中途半端なんでした。
直接接続者が社会的にどういう立場にいるのか、データベースは何を目的としてバージョンアップされているのかという点が、ほとんど説明されないまま話が進んでいて、ちょっと現実感に欠けてます。
そのくせ、部署同士の揉め事とか、生意気な新入りとか、話の内容は妙に生々しい。
一つ一つの話は、それなりに楽しめたのですが、全体を通すと疑問符をつけざるを得ないところが残念です……。
投稿者 utsuho : 22:51 コメント (2) トラックバック (0) | 読書
2005年1月21日
荻原規子 / 樹上のゆりかご
「樹上のゆりかご」を読み終わりました。
なんと、主人公は「これは王国のかぎ」の上田ひろみちゃんじゃありませんか。懐かしいなあ。
舞台はひろみが高校2年生の頃の話。
高校のイベント「演劇コンクール」と「体育祭」を妨害しようとする何者かが……という感じで話が進んでいきますが、犯人探しのミステリーではありません。
「サロメ」の解釈と「名前のない顔のないもの」を中心に流れていく話が、とても自然に絡み合って、みるみるうちに引き込まれました。
近衛有理さんの演じる舞台「サロメ」は私も見てみたいなあ。
ただ、最後がちょっと消化不良に終わったのが残念なところ。
有理さんについて、もっと他にも解決の道があったんじゃないかなあ。
まあ、ここで解決しなかったことについては、ひょっとしたらまた続編が出るのかもしれないので、そうだったらとても嬉しいのですが。
前作「これは王国のかぎ」を知らなくても充分楽しめますが、ところどころでシンドバッドの話が出てくるので、まとめて読んだ方が楽しめると思います。
投稿者 utsuho : 18:12 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2005年1月 7日
森岡浩之 / 星界の戦旗(4) 軋む時空
「星界の戦旗(4) 軋む時空」読了。
なんせ前作から3年以上も間が開いているので、ストーリーをあまり覚えていない……。
なんとか思い出しつつ詠んでいきました。
もともとアーヴの名前を覚えるのも苦手で(アーヴ語なんて、ほとんど覚えていない)、登場人物を出されても、即座にどんな人だったか把握できてないので、読んでいても今ひとつ入り込めませんでした。
で、今回はつなぎのイメージが強かったかな。
戦争の描写がメインになってきたので、個々人の動きが少なくなってきたのは残念なところでした。
あと、戦闘だけじゃなくて、外交の駆け引きはもっと見せてもらいたかったなあ。
「上兵は謀を伐つ」と孫子も言っているように、戦闘を行なわない部分こそ、戦争で重要なところだと思うので。アーヴがそういう考え方を持っているかどうかは判りませんが。
次回はいろいろと話が動きそうなので、楽しみにしてます。
できれば、今回の話を忘れないうちに……。
投稿者 utsuho : 11:42 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2004年11月30日
荻原規子 / 白鳥異伝
『空色勾玉』を読み始めたら勢いがついてしまい、続けて『白鳥異伝』を手にとる。
大好きな「勾玉三部作」の中でも一番好きな作品です。
遠子と小倶那をはじめ登場人物一人ひとりの描写や、それぞれの勾玉を巡る物語など、一作目で作られた世界がこの作品で一気に深みを増したと思います。
それに、この作品にはなんといっても菅流がいますしね。
ファンタジー好きな人には是非とも勾玉の世界を楽しんでもらいたい、国産ファンタジーの傑作です。
投稿者 utsuho : 00:10 コメント (2) トラックバック (0) | 読書
2004年11月12日
荻原規子 / 空色勾玉
久しぶりに荻原規子の『空色勾玉』を読み返してみる。
大学生の頃に、何度となく読んだものだけど、やっぱり、何回読んでも面白いものは面白いですね。
活き活きと描かれた世界も、神と人の死生観も、稚羽矢の天然ぶりも科戸の渋い役回りも照日の厳しさもみんなみんな大好きです。
ジャンルは児童文学ということだけど、中身は骨太なファンタジー。
年齢に関係なくお勧めの作品です。
投稿者 utsuho : 20:22 コメント (0) トラックバック (0) | 読書
2004年8月12日
ロバート・A・ハインライン / 夏への扉
今さらのようだが、ハインラインの『夏への扉』読了。
SFの魅力がたっぷりとつまった、いい作品でした。
読む前の予備知識としては「猫の出ている物語」ということくらいしか知らなかったので、当然、期待するところも猫の活躍でした。ほら、表紙もそういう感じだし。
そういう意味ではもっと活躍して欲しかったけど、それでも「ああ、猫好きの作者なんだなあ」ということが端々から感じられます。
描写もテーマもわかりやすくて、その中でSFの要素が活かされているので、普段SFを読まない人でも手にとる価値はあると思います。
投稿者 utsuho : 00:42 コメント (2) トラックバック (0) | 読書