2005年10月18日

イージー・ムハ / アルフォンス・ミュシャ 装飾資料集/装飾人物集

アール・ヌーヴォーを代表する画家、アルフォンス・ミュシャ。
ミュシャの絵を好きな人は数多くいると思いますが、私もその内の一人です。

この本は、1902年出版の「装飾資料集』と1905年出版「装飾人物集」一冊にまとめたもの。
ミュシャの絵に使用されている、あの特徴的な装飾や、人物の素描などが収録されています。

中には食器や椅子など日用雑貨の絵も収録されていたりと、いろいろと楽しめます。
ミュシャのデザイナーとしての側面の見られる、興味深い一冊です。

投稿者 utsuho : 22:49 コメント (0) トラックバック (0) | 読書

2005年9月29日

ジェイムズ・P・ホーガン / 星を継ぐもの

月面から発見された死後五万年の遺体。この遺体と人類とのつながりは、はたして……?

そこから始まる謎に次ぐ謎。次々と明かされる事実と、それによって生じる新たな矛盾。
この作品は、まさにSFとミステリーの融合です。

ありとあらゆる学者を巻き込んだ論争で物語が展開されていく様子に、ページを繰る手も自然と早くなりました。
ストーリーではなくその設定と世界で読者を引き込む。これもSFの魅力ですね。

投稿者 utsuho : 15:58 コメント (0) トラックバック (0) | 読書

2005年9月18日

荻原規子 / 空色勾玉

荻原規子さんの「空色勾玉」のノベルス版が発売されました。

以前のエントリでも書いているので繰り返しにはなってしまいますが、何度でもいいます。

この作品は日本を代表するファンタジーの傑作です。

それが手に取りやすい形で発売されたというのは嬉しい限り。
いままでハードカバーだからといって敬遠していた方や、児童書だからといって見過ごしていた方も、これを機会に一度読んで見てはいかがでしょうか。
私達の国に息づく幻想世界の扉が、ここにあります。

投稿者 utsuho : 22:25 コメント (8) トラックバック (0) | 読書

ダグラス・アダムス / 銀河ヒッチハイク・ガイド

ダグラス・アダムスの「銀河ヒッチハイク・ガイド」、読み終わりました。

この本を一言で紹介するなら「読むモンティ・パイソン」でしょう。
しかも、SFという形をとっているために、もう、なんでもありの世界。
のっけから地球が消滅してしまうんですから、そのスケールも尋常じゃありません。

隙を与えずに次から次へと繰り出されるお笑いの数々に、笑いと失笑の繰り返しでした。
ビジュアルを意識した翻訳とあいまって、そのやり取りが目に浮かぶよう。
翻訳SFでここまで笑えるとは、ちょっと驚きでした。

一風変わった笑いを楽しみたい方におすすめの一冊です。
映画も公開されていますので、そちらもあわせてどうぞ。

投稿者 utsuho : 18:48 コメント (0) トラックバック (0) | 読書

2005年7月 9日

森岡浩之 / 星界の断章1

「星界の断章 1」読了。
雑誌等で発表された「星界シリーズ」の短編集です。

感想としては、ううん……。
「これは、ちょっと悪乗りが過ぎるんじゃない?」というところ。
人それぞれ意見はあるだろうけど、あまりにストレート過ぎて私は好きになれませんでした。
ネタはネタとして、もうちょっと消化のしようもあると思うんだけどな。

森岡さんは「夢の樹が接げたなら」等、なかなか良い短編を書ける作家だけに、これはちょっとなあ……。
まあ、星界シリーズの舞台裏を覗きたい人向けですね。

投稿者 utsuho : 21:14 コメント (0) トラックバック (0) | 読書

2005年6月25日

荻原規子 / 風神秘抄

「風神秘抄」を読み終わりました。
久々の荻原規子さんの新作とあって、少しずつ楽しんでいたら、なかなか読み応えがあって
意外に時間がかかりました。

今回の舞台は平安末期。
草十郎と糸世をとりまく遊芸人の世界と、芸能の持つ神性。
もう勾玉は出てこないけれど、それでも「勾玉三部作」から連なる世界なんですね。
荻原作品は、日本という国の持つファンタジーの扱いがとても上手です。
はたして、この先はどこにつながっていくのでしょう。

あの様子だと、糸世御前の外伝とかも読んでみたいなあ……。

投稿者 utsuho : 16:37 コメント (0) トラックバック (0) | 読書

2005年4月17日

S・ジャクソン&I・リビングストン / 火吹山の魔法使い

かつて、一世を風靡したゲームブック「ファイティング・ファンタジー」シリーズの一作目
「火吹山の魔法使い」が扶桑社より復刊されました。

ゲームブックは、小学生の頃の休み時間や放課後に結構やりましたね。
サイコロ振って、ページを行ったり来たり、ズルをして選択肢の先を見たり。
ああ、懐かしいなあ。

この復刊版にも、ちゃんと「さあページをめくりたまえ」のフレーズもありましたよ。

勇んでページをめくりたいところだけど、今はそんなヒマは到底ないな。
まさか通勤電車でゲームブックはできないし。
連休のお楽しみ、かな。

投稿者 utsuho : 23:47 コメント (4) トラックバック (1) | 読書

2005年3月29日

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア / たったひとつの冴えたやりかた

これはもう、タイトルだけで勝負ありでしょう。
SFの名作って、何でこうも格好いいタイトルのものが多いんでしょうね。

この本は、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの短編集です。
その中でも私の好きなのは表題作である「たったひとつの冴えたやりかた」。
未知の生物イーアとの友情と、その最後にコーティーが選んだ「たったひとつの冴えたやりかた」。
この物語は涙なくしては読めません。

「これぞSF!」と叫びたくなるような、SFの魅力のつまった作品です。

投稿者 utsuho : 00:31 コメント (8) トラックバック (2) | 読書

2005年3月 8日

パオロ・マッツァリーノ / 反社会学講座

パオロ・マッツァリーノの「反社会学講座」に、大いに笑わせてもらいました。

この本について一言でいうなら「胡散臭い」ということでしょう。
著者のイタリア風の名前に油断していたら、出てくる話は思いっきり日本ローカル。
「何者だよ、あんた!?」とか思ってしまいました。

題名は、なにやら難しそうですが、そんなことは全くありません。
「新聞・テレビ・そして社会学者が紋切り型に 述べていることは大抵ウソが含まれている」。
そのウソに対し真っ向から反論し、鮮やかな展開で結論を導き出す様は、読んでいて胸のつかえがすっと取れるようにも思えます。

しかし、そんな言葉に乗せられて「そうだ、この本の言うとおりだ!」なんて思ってはいけません。
反論の切り口も社会学に則った統計資料なので、やはり著者の思惑がたっぷり入っているんです。
つまり、この本はあえて「嘘つきのクレタ人のパラドクス」をやっているわけです。危ない危ない。

この本の持つ、笑いに対する絶妙なバランス感覚は、誰彼かまわず薦めたくなりますね。

興味を持った方は、著者のサイト「スタンダード 反社会学講座」があるので、まずはここを見てみるといいと思います。

投稿者 utsuho : 15:30 コメント (0) トラックバック (0) | 読書

2005年2月20日

冲方丁 / 黒い季節

冲方丁「黒い季節」を読み終わりました。
この作品は、角川スニーカー大賞の金賞を受賞した作品なんですね。

舞台は現代日本、ヤクザの抗争とそれに絡んでくる密教の術者。伝奇モノの王道とも言える設定ですが、それでなお読者を引き込んでいく描写の力は圧倒的ですらあります。
視覚的な描写なので、映像作品にしたら面白いものになるでしょうね。

ときどき日本語の用法がおかしいところもありますが、それを補って余りある、冲方氏の独特の表現と世界で、なかなか楽しめる作品でした。

投稿者 utsuho : 00:00 コメント (0) トラックバック (0) | 読書