2005年6月29日

矢車草のごとく / サファイア

私は石の中でも特に「青い石」が好きなのですが、「青い石」というとたいていの人がサファイアを思い浮かべるのではないでしょうか。
サファイアはいまさら言うまでもなく青い石の代表格です。宝飾品としてもよく使われますね。
その語源はラテン語の「Sapphirus(=青)」。古代より神聖視された非常に歴史のある石です。

サファイアはコランダム(鋼玉)の一種で、宝石名としてはコランダムのうちの紅い石を「ルビー」と称し、
それ以外のものを「サファイア」と言います。
ですから、オレンジやイエローなど青以外の色を持ったサファイアというものも存在します。
ただ、普通にサファイアと言った場合はブルーサファイアを指し、それ以外の色のサファイアを「ファンシーカラー・サファイア」と呼んで区別します。

インド北部のカシミール地方で産出されるサファイアは「コーンフラワー(=矢車草)」や「カシミール・ブルー」と呼ばれ、最上級のものとされています。
ただし、現在ではほぼ掘り尽くされ、市場にはほとんど出回っていないそうです。

写真のものは、スリランカ産の非加熱サファイア。
私の場合は宝飾品に使うわけではないのですが、それでもこういう石を買うとなると、ついつい綺麗なものを探してしまいます。

投稿者 utsuho : 00:16 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年6月 3日

第18回 東京国際ミネラルフェア

新宿で開催されている、 東京国際ミネラルフェアへ行ってきました。
国内最大の鉱物・化石の展示即売会です。

今回は平日の参加だったのですが、人手はすごかったです。
普段、石好きさんなんてほとんど見かけないのにねえ。

日本だけでなく、海外のディーラーさんも参加しています。
で、海外のディーラーさんのところですごく綺麗なジプサムを見つけたのだけれど、
お値段も素晴らしかったのであえなく撃沈。
初日というせいもあり、値引きも聞かなかった……。
外国人相手に英語で値引き交渉というのは、私には敷居が高すぎます。

こんな感じで、会場いっぱいに所狭しと鉱物や化石が並べられているのは、壮観です。

で、いろいろ見て回っているうちに、気付いたら予算をオーバーしてました……。あはは。
いい石を見ていると、途端に理性を失ってしまいます。

今回はちょっと欲しい石があって探してみたのだけれど、見つけられなかったのが心残りです。
まあ、出会えなかったということは、今回は縁がなかったということなのかな。

投稿者 utsuho : 20:49 コメント (0) トラックバック (0) | イベント,鉱石

2005年4月26日

天空染める藍の雫 / ラズライト

今のこの季節は、一年の内で一番好きな季節です。
日頃は出不精な私も、この季節は清々しい風に誘われて、用事はなくとも外に出かけたくなります。
以前は、近くの公園にでかけて芝生の上でねそべって延々と空を眺めるなんてこともよくやりました。
最近はあまり時間の余裕がないのでやっていませんが……。

ラズライトは、そんな春の晴れ渡った空を思い起こさせる石です。
語源はドイツ語の「lazurstein(=青い石)」。
和名を天藍石というように、空から落ちてきたかのような、深みのある青が魅力の石です。

ラズライトは綺麗な石なのですが、欠けやすいため残念ながら宝飾品にはむきません。
また、結晶はあまり産出されないため、あまり売られているのは見かけません。
写真のものも、鉱物のイベントで売られているのを見かけて、即座に買ったのを覚えています。

ちなみに、ラピス・ラズリも別名をラズライトといいますが、こちらの綴りは「Lazurite」になります。
"L"と"R"の違いを認識するのは、日本人には難しいですね。

投稿者 utsuho : 01:05 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年4月 6日

岩間の果実 / ガーネット

綺麗な透き通る石は、時として果物に例えられることがあります。
ガーネットもそんな果物鉱石の一つ。
ガーネットという呼び名は、ラテン語の「granatus(=種がいっぱいあるもの、転じて柘榴のこと)」からとられました。
岩の間に赤くて小さな結晶がいくつもついている様子は、なるほど柘榴にそっくりかもしれません。
和名でも、そのまま柘榴石と呼ばれています。

実際にはガーネットというのは、一種類の鉱物を指すのではなく、類似の化学構造を持つ鉱物につけられたグループ名のことを指します。ガーネット・グループは、さらに十数種類にまで分類されます。
私には、全部を覚えることなんて、到底できませんが……。

柘榴の実に例えられるように、ガーネットというと赤いものが代表的なのですが、多種に渡るガーネットのことですから、赤くないガーネットというのも沢山あります。以前、とある鉱物イベントで赤・橙・黄・緑とガーネットがグラデーションで並べられているのを見て、思わず笑ってしまったことがあります。
変わったところでは、アレキサンドライトのように色が変わるカラーチェンジガーネットや、七色に光るレインボーガーネットなんてものもあります。

写真のものは、柘榴の実というにはちょっと大きい結晶ですね。
一見すると黒っぽい結晶なのですが、光にかざすと柘榴の実にも劣らない、鮮やかな赤色をしています。

投稿者 utsuho : 15:53 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年3月20日

ミネラルコレクティング Spring '05

鉱物科学研究所」の展示即売会、「ミネラルコレクティング Spring '05」へ行ってきました。

今回は、会場が変わったせいか、以前より人が少なかったかな……。
品揃えは、いつもの通りなかなかのもの。
定番のものからあまり見かけない珍しいものまで、沢山あって目移りしてしまいます。

いろいろと迷っているうちに、気が付いたらいっぱい買い込んでいました。

最近、ここで鉱物の話を書いているせいか、選ぶ時に「あ、これネタになりそう」とか思ってしまうのは、困ったものです。

投稿者 utsuho : 22:56 コメント (0) トラックバック (0) | イベント,鉱石

2005年3月17日

永遠の氷 / クリスタル

クリスタルはクォーツ(=石英)の透明な結晶のことを指します。
その語源はギリシア語の「Krystallos(=氷)」。和名では「水晶」です。
どこまでも透き通る様子は、確かに水に通じるものがあります。
古代には、水晶が雪深い山岳地帯から産出したことから「氷の化石」とも考えられていました。

ちなみに石英とは「石の華」のこと。これもなかなか風雅な名前です。

水晶は世界各地で産出され、また、産出量も多いので、私達にも馴染みの深い鉱物です。
鉱物を趣味にしていない方でも、六角柱状の結晶をどこかで目にしたことはあるのではないでしょうか。

写真の水晶は、私が初めて手にした鉱物標本です。
そのお店には水晶だけでも沢山置いてあって、選ぶのにすごく迷ったことを覚えています。
鉱物に関する知識が全くなかった頃なので、純粋に直感で選んだものですね。
ここから、いろいろな鉱物との出会いが始まりました。

投稿者 utsuho : 23:24 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年3月 2日

仄白き眼差し / アポフィライト

アポフィライトの語源はギリシア語の「apo(=~から離れて)」と「phyllon(=葉)」で、この石を熱すると葉片状に割れるという性質を持つことからきています。
と言っても、その様子を見たことはないんですけどね……。

また、仄かに白く輝く様子が魚の眼のように見えることから、和名を魚眼石といいます。
と言っても、私にはこの石はどうにも魚の眼には見えないんですけどね……。

個人的な感想ですが、この石に関してはどうにも名前と実態が上手く結びつきません。
想像力が足りないせいか、そもそも魚の眼というものをよく見ていないせいか。
まあ、そんなことは石の持つ魅力の前ではそれほど大きな問題ではありませんね。

写真のものはインド産の結晶。
透明な結晶の奥の方からかすかに見えるさわやかなアップルグリーンの色合いは、眺めていると吸い込まれそうな気がします。

投稿者 utsuho : 00:31 コメント (2) トラックバック (0) | 鉱石

2005年2月16日

神のいたずら / アレキサンドライト

鉱物の中には、ただ見た目が綺麗なだけでなく、非常に面白い性質を持つものもあります。アレキサンドライトはそんな不思議な性質を持つ石の一つ。

アレキサンドライトはクリソベリル(金緑石)の一種で、自然光の下で見るときと白熱灯の下で見るときとで、色が変わるという性質を持っています。深い緑色から赤紫へと変わる様は、何度見ても不思議です。

1830年に、ロシアのウラル山脈でこの石が発見されたとき、日光の下では青緑色だったものが、夜にろうそくの明かりのもとで見ると、赤色に変わっていた。この様子をみた抗夫の間では「神のいたずらに違いない」と騒がれました。
この珍しい石は、ロシア皇帝ニコライ一世に献上されることになり、ちょうどその日が皇太子アレクサンドル(後のロシア皇帝アレクサンドル二世)の誕生日だったことから、この石はアレキサンドライトと名付けられたと言われています。

写真は左が蛍光灯下、右が白熱灯下で撮影したものです。
暇な時に、何度となくこの石を取り出しては色変わりを楽しんでいますが、いつ見ても飽きません。

投稿者 utsuho : 00:23 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年2月10日

長野まゆみ / 鉱石倶楽部

長野まゆみ作品といえば、食べ物や小道具に魅力的なものが多く登場します。鉱石もそういった小道具として、あるいは色や質感のたとえとして出てくるわけですが、この本は、そんな長野視点で見た鉱石のお話がぎゅっとつまった本です。

石好きで、食い意地の張った人なら、お菓子のような鉱石を見て「あ、美味しそう」と思ったことが一度はあると思います。長野さんもそういう人らしく、読んでいるだけでよだれの出てきそうなお話ばかりです。アメシストの露から作られた果実酒とか、柘榴石の砂糖漬けとか、一度味わってみたいものです。

一緒に添えられている写真も、奇麗なものばかりで、ぱらぱらと眺めているだけでも楽しめます。アクアマリンの写真なんて、本当にゼラチン質でぷるぷるしていそう……。

石好きの人にはたまらない、長野さんの鉱石への愛情にあふれた一冊です。

投稿者 utsuho : 22:28 コメント (2) トラックバック (1) | 読書,鉱石

2005年2月 8日

ゆらぐ蒼月 / ムーンストーン

ムーンストーンは和名を「月長石」といい、真珠とともに6月の誕生石とされています。
通常は半透明な乳白色の石なのですが、見る角度によってシラーという光の反射が浮かび上がります。
その神秘的な光の揺らぎから、この石は月の光を閉じ込めたものであると信じられてきました。また、その輝きは月の満ち欠けに応じて変化するとの伝説もあります。

ムーンストーンの魅力は、なんと言ってもその神秘的な蒼色でしょう。他の石とは明らかに異なる、ゆらゆらと揺れるようなやわらかい輝きは、まさしく月光に通じるものがあります。

写真のものはファセットカットされたムーンストーンです。
普段はカボションカット(全体に丸みを持たせたカット)にされることの多い石で、ファセットカットのものは珍しくて手を出してしまいました。

写真はちょっとフラッシュが強すぎました……、反省。

投稿者 utsuho : 00:05 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石