2006年4月26日

揺れる虹色 / オパール

鉱石はその種類ごとに、本当にいろいろな特徴を持っています。
オパールもまた特徴のある石で、角度をかえるごとに七色の光を見せてくれます。
この虹色の光は遊色効果と呼ばれています。

オパールの語源はサンスクリット語の「upala(=貴石)」。この言葉がギリシア・ローマを経て広くヨーロッパへ広がったそうです。
和名を「蛋白石」というように、オパールはたんぱく質の化石化したものだそうです。

ただ、オパールと呼ばれるもののすべてが遊色効果を持つわけではなく、単一の色合いを持つオパールもあります。遊色効果を持つものを「プレシャス・オパール」、単一の色合いのものを「コモン・オパール」と呼んで区別します。
もちろんコモン・オパールにも綺麗なものはたくさんありますが、私はプレシャス・オパールの揺れるようなさまざまな色合いに、より魅力を感じます。

写真のものは、オーストラリア産のボルダーオパールです。
茶色の鉄鉱石の間に層状にオパールが入り込んでいるのが特徴で、さまざまな色が浮かび上がるのが楽しい石です。

投稿者 utsuho : 16:34 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2006年2月27日

草露のひとしずく / フォスフォフィライト

ダイヤモンドやサファイアなど、世の中に宝石として出回っている有名な石は、世界各地で産出され、安定して供給されているものがほとんどです。
そうした産出量の多い石とは逆に、世界中でも産地はほとんどなく産出量もごくわずかという石も存在します。
フォスフォフィライトはそうした稀産鉱物のひとつです。

フォスフォフィライトの語源はギリシア語の「phospho(=燐)」と「phyllon(=葉)」で、燐酸を含み完全な劈開があるという性質から名づけられました。
和名もその直訳で「燐葉石」と呼ばれます。

その無機質な名前とは裏腹に、清冽で淡い碧がとても印象的な石です。
写真を見ていただければ、その美しさがわかっていただけるかと思います。
ただ、非常に柔らかくて欠けやすいため、アクセサリーとして使われることはまずありません。
それ以前に産出量が非常に少ないため、そもそもお店で見かけること自体、めったにありませんね。

私もしばらくこの石を探し回っていた頃がありまして、イベントなどでは外国のディーラーさんに尋ねたりもしていました。
つたない英語で「ふぉ、ふぉすぉひらいとってありますか?」と訊いても、返ってくるのは「?」という顔ばかりで、なかなか恥ずかしい思いもしました(笑)
なので、いまだに外国の方にも通じる正しい「フォスフォフィライト」の発音はわかりません。

写真の石は、お店に置いてあるのを見せてもらったところ一目惚れしてしまい、ここで別れたら二度と出会えないと思って連れて帰ってきたものです。
人との縁と同じく、石との縁というのも、もそういうものですね。

投稿者 utsuho : 00:18 コメント (4) トラックバック (0) | 鉱石

2006年2月14日

同じ海の色 / ハライト

永遠の色と すぎさる日々の色
いつか知ってゆく いつか伝えてく
同じ海の色 すべての瞳に
どこまでも蒼く いつまでもあるように
同じ海の色 同じ朝焼けの色
この胸にいつも やさしく届くよう
(ZABADAK「同じ海の色」より)

どこまでも深く、柔らかい青。
じっと見つめているとまるで海の中に引き込まれていくような感覚に包まれます。
太古の昔に海だった場所より産まれ出るもの。
海から産出される鉱物が、また海を思わせる色を持つというのも、地球の不思議なところです。

ハライトの和名は「岩塩」。語源はギリシア語の「hals(=塩)」です。
そう、有史以前から世界中で使われてきた、おなじみの塩です。

残念ながら湿度が高い日本では、塩が岩塩として産出されることはありません。
湿気にも弱く保存にも注意が必要な石なのですが、この深い青の魅力に惹かれて、つい手にとってしまいました。

この記事のタイトルはZABADAKの歌よりとりました。
海の深さを感じることのできる、大切な歌のひとつです。

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2006年2月 4日

ラズベリードロップ / ペツォタイト

鉱物の本などを見ると本当に多くの種類の鉱物が載っていますが、地球にはまだまだ未知の鉱物が眠っていて、ときどき、それがひょっこりと顔を出すことがあります。
ペツォタイトもそういった新しく発見された石のひとつです。

2002年にマダガスカル島で発見されたこのベリルの一種は、通常のベリルよりもセシウムを多く含み、それまでにない鮮やかなピンク色をしていました。

その翌年にツーソンで開かれたジェム&ミネラルショーでは、その紫がかったピンク色をラズベリーに例え、「ラズベリル」として紹介されました。
もう、あまりにストレートで笑ってしまうしかないネーミングですね(笑)
こういうセンスは世界共通なのでしょうか。

その後、新種の鉱物として正式に認められ、この鉱物の発見者であるイタリアの自然歴史博物館の博士、F.Pezzottaの名前にちなんで「ペツォタイト」と名づけられました。

ただ、新鉱物の発見のニュースとともに「ラズベリル」という名前があまりに広まってしまったために、今でも商品名として「ラズベリル」という名称を使っているところが多くあります。

名前といい色といい、見るからに「美味しそう」な石です。

投稿者 utsuho : 11:07 コメント (2) トラックバック (0) | 鉱石

2006年1月28日

国際宝飾展 IJT2006

東京ビッグサイトで行われた「国際宝飾展 IJT2006」へ行ってきました。
このイベントは、国内最大級の宝飾業者向けのイベントです。

まあ、私のようなしがない一般庶民には、本来は縁のないイベントなのですが、なりゆきで招待状をいただいているので、見物に行きました。

今回の目的の大半は、目の保養ですね。

いろいろなブースで、普段はお目にかかれないような豪華なアクセサリーを見たり、その値札につけられたゼロの数をかぞえたり(笑)
あとは、特価品のルースに面白いものがないかなあとのぞいたりしてました。

まあ、だいたいはこんな感じ会場をふらふらと歩いていました。

途中で、以前に他のイベントの時に寄ったことのあるお店にちょっと挨拶にいったところ、店員さんがいくつか珍しい石を出してくれました。
希産の石ですと、売っているだけでも珍しいので、石の質としてはたいしたことないということも多いのですが、ここで見せてくれた石はどれもこれも素晴らしい質のものばかり。
こちらも眺めるだけで、目の保養になります。
「ちなみに、この石はいくらですか?」とか訊いても、当たり前のように素晴らしいお値段が返ってきます(笑)

ただ、その中に、とても心惹かれる石がいたのです。

これも、「まあ、まず縁はないだろうな」という気持ちでお値段を訊いたところ、予算をオーバーするけれど、何とか手出ないことはないというところ。
今を逃したら、もうお目にかかれないことは、ほぼ確実。
ううん、これは是非とも連れて帰りたいところだけど……。
長々とルースとにらめっこし、お財布や物欲と葛藤した挙句、結局連れて帰ることになりました(笑)

あまりもったいぶってもしょうがないですね。
ということで、おすそ分けです。

フォスフォフィライトのルースです。どうでしょう、素晴らしい輝きでしょう。
あまり一般的には馴染みのない鉱物ですが、私の大好きな石のひとつです。
もう、見ているだけで幸せになれます。
ちょっと浮かれていますね。あはは。

この石を買って、本日の予算は打ち止め。
どうやら、今日はこの石と出会うために出かけたようです。

投稿者 utsuho : 23:28 コメント (0) トラックバック (0) | イベント,鉱石

2006年1月23日

月光晶 / セレナイト

冬も厳しくなるこの季節、空はどこまでも澄んで月の光も冴え渡ります。
セレナイトの輝きは、そんな冬の月を感じさせてくれます。

セレナイトの語源はギリシア語の「selene(=月)」。
和名を「透石膏」という通り、セレナイトは石膏の結晶したものです。

以前に「ムーンストーン」についての記事を書きましたが、ムーンストーンが
ゆらめく月のイメージを持つのに対し、セレナイトは月の光をそのまま結晶
にした石、というのが個人的な感想です。

非常に柔らかく湿気にも弱いので、取り扱いに注意に必要な石なのですが、
この美しさにつられて、ついつい連れて帰ってきてしまいました。

投稿者 utsuho : 00:00 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2006年1月16日

柔らかな綿雪 / オーケナイト

鉱物や石というと、硬くて冷たいものを想像される方が多いと思います。
しかし、自然の神秘はときとして人間の想像力を超えるものを生み出します。
オーケナイトもそんな自然の神秘の一つです。
綿花のようにふわふわとしたその姿は、鉱物という概念からは程遠く感じられます。

オーケナイトはドイツの自然研究家であるL.Ockenにちなんで、この名前がつけられました。
和名はなく「オーケン石」と呼ばれます。
日本ではこちらの方が一般的な呼び名となっています。

白くふわふわとした様子から、「兎のしっぽ」とも呼ばれています。
ヨーロッパでは兎の足は幸運のお守りとされていますが、さて、兎のしっぽはどうでしょう……?

投稿者 utsuho : 23:10 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年12月17日

東京ミネラルショー 2005

池袋のサンシャインシティで開催されている、東京ミネラルショーへ行ってきました。
初夏に新宿で行なわれる東京国際ミネラルフェアと並んで、国内最大規模の鉱物・化石の展示即売会です。

土曜日ということもあって、会場は結構混んでいました。
人ごみはいやですが、石好きの方がこれだけいるということには嬉しくなりますね。


会場内はこんな感じです。
鉱物標本やルース、化石などが見渡す限り並べられています。
店ごとに品物の特色が違うので、いろいろ楽しめます。

こちらは、大型標本の展示コーナー。
売リ物だったらいくらくらいになるんだろう……。

今回の戦利品(の一部)を並べてみました。
今回は、あまりお目当ての石というものを決めていなかったので、ふらふらとうろついて、気に入ったものを手にとる感じ。
と、気付いたら標本やらルースやら、結構な数を買い込んでいました。
え、画像が小さくてよく見えないですか?……まあ、そこはそれ。


「天然石」

投稿者 utsuho : 23:11 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2005年12月 3日

高貴な青色 / アウイナイト

私は石好きのはしくれとして、綺麗な石や面白い石を集めていますが、その中でも特に青い石が好きです。
まあ、ひとことで「青い石」といっても、サファイアをはじめとして数え切れないほど沢山あります。
ただ、こと色の美しさに関していえば、このアウイナイトの青色に一番強く惹かれます。

アウイナイトは和名を「藍方石」といい、ラピス・ラズリを構成する鉱物の一つです。
発見者である鉱物学者R.J.Hauyの名から「アウイナイト(Hauynite)」と名づけられました。
ドイツのアイフェル産のものが有名で「アイフェルのサファイア」とも呼ばれます。

どこまでも深くそれでいて清冽な青色は、ディスプレイ越しでは上手く伝えられませんね。
興味をもたれた方は是非とも実物を一度観てもらいたいものです。


「天然石」
「Deep Blue」

投稿者 utsuho : 23:05 コメント (2) トラックバック (0) | 鉱石

2005年11月 8日

深赤色の奇蹟 / レッドベリル

久しぶりの鉱石エントリです。
せっかくなので、ちょっと珍しい石を紹介します。

レッドベリルはその名の通り、エメラルドやアクアマリンと同じくベリルの一種です。
その特徴は、なんといっても深く鮮やかな赤色です。

これだけ美しく魅力にあふれる石ですが、残念なことにあまりその存在を知られていません。
この石をアクセサリーとして見かけることも、ほとんどありません。
それは、大きな結晶が産出されず、さらに、良質のものは世界の中でも唯一、アメリカのユタ州ワーワー山脈でしかとれないためです。

鉱物店などでこの珍しい石を見かけることがあったら、ぜひじっくりと見てその魅力を感じてみてください。
あるいは、宝石店で「レッドベリルを見たいんですけど」と聞いてみても面白いかも……。
ひょっとしたら、とっておきの石を見せてくれるかもしれませんよ。

投稿者 utsuho : 22:25 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石