2007年1月16日

線の芸術 / ルチルクォーツ

ルチルクォーツは水晶の中に細く針状のインクルージョン(内包物)が入り込んだもので、「針入り水晶」とも呼ばれます。

こうしたインクルージョンの代表はルチル(=金紅石)なのですが、それ以外にもアクチノライト(=緑閃石)やトルマリン(=電気石)の針状結晶が入っている場合もあります。
ただ、そうした場合でも「ルチルクォーツ」としてひとまとめに扱われることが多いようです。

写真のものは濃紅色のシンプルなインクルージョンがどこか抽象絵画を連想させるようで、気に入っている石です。

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2007年1月12日

閃青 / パライバ・トルマリン

トルマリンは和名を「電気石」ともいうように、圧力を加えると静電気を発生する性質を持っています。
そして、シンハリ語の「Turmali(=多くのものをもつ)」という語源がしめす通り、非常に多色性に富んだ石です。
トルマリンのうちで代表的なものとしては、赤色のルベライトや藍色のインディゴライトなどがあります。

そうした多くの色を持つトルマリンの中でも、ひときわ異彩を放つのがこのパライバ・トルマリンです。
含有している銅イオンによって発色した蛍光の青色は、他のどの石にもない鮮やかさがあります。

この石はその名の通り長らくブラジルのパライバ州のみでしか産出されなかったのですが、2001年頃からナイジェリアでも同系統の石が産出されるようになり、近年ではナイジェリア産のものもパライバ・トルマリンと呼ばれています。

ブラジル産のパライバ・トルマリンが枯渇してきているという話もあり、これから先はアフリカ産の比重がさらに高まっていくのではないでしょうか。

写真もそこそこ綺麗に撮れましたが、実物の方がはるかにインパクトがあるので、機会があればぜひとも実際にその眼で見てもらいたい石です。

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2006年12月22日

フェイク・ダイヤモンド / ジルコン

ジルコンはペルシャ語「Zargun(=金色)」を語源とするように、金色から赤褐色のものが多く産出される鉱石です。
中でも赤褐色のものはヒヤシンスとも呼ばれ、和名もそこからとって「風信子石」といいます。

余談ですがヒヤシンスという呼び名はジルコンに限ったものではなく、ヘソナイト・ガーネットなどもヒヤシンスと呼ばれます。

ジルコンは屈折率が高いため、かつては無色透明のジルコンがダイヤモンドの代用品として使われていました。
ただ、ダイヤモンドは単屈折であるのに対してジルコンは複屈折であるため、ダイヤモンドとジルコンは簡単なテストで区別することができるそうです。
現在では、ダイヤモンドの代用品としては単屈折のキュービック・ジルコニアなどが使用されることが多いようです。

この石に関しては、ダイヤモンドの代用品という役割を終えたおかげで、かえって石本来の持つ美しさに焦点が当てられるようになった気がします。

投稿者 utsuho : 00:12 コメント (2) トラックバック (0) | 鉱石

2006年12月16日

東京ミネラルショー 2006

池袋のサンシャインシティ文化会館で開催された「東京ミネラルショー 2006」へ行ってきました。
毎年この時期に開催されている、鉱物・化石の展示即売会です。

会場の外では大型化石の展示をしていました。
私は鉱物趣味がメインで、化石にはあまり惹かれないのですが、こういった素晴らしい化石を見るとドキドキしますね。

ブースでは、このように所狭しと鉱物が並べられています。
ほんとうにいろいろな種類の鉱物があるので、お目当てのものを探すだけでもひと苦労ですが、それも楽しみのひとつです。

もちろん、化石も売られています。
太古のロマンですね。

こういった鉱物関連のイベントはあまりないので、あちこちのブースを見てお店の方と話しているだけでも楽しくて、ついつい時間を忘れてしまいます。
いくつか気に入ったものを買ってきましたので、いずれこのBlogでも紹介したいですね。

投稿者 utsuho : 23:50 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2006年10月27日

馬駆ける草原の緑 / デマントイド・ガーネット

一般にガーネットという名からは赤色のものが想像されますが、デマントイド・ガーネットは鮮やかな緑色をしています。
クロムを含んだアンドラダイト・ガーネット(灰鉄柘榴石)の一種で、ダイヤモンドよりも強い光の分散を持ち、そのことからドイツ語で「Demantoid(=ダイヤモンドのような)」と名付けられました。

ウラル山脈から産出されるデマントイド・ガーネットには繊維状のアスベストのインクルージョンを持つものがあり、そのインクルージョンの様子が馬の尻尾のように見えることから「ホーステール・インクルージョン」と呼ばれています。
このホーステール・インクルージョンの入り方も、デマントイド・ガーネットの大きな魅力のひとつになっています。

写真のものはテーブル面の上部にうっすらとホーステール・インクルージョンが見えます。
私が持っているのは小さな石で、ホーステール・インクルージョンは肉眼でやっと見える程度なのですが、お店の人に言わせると「あまり沢山入りすぎると、輝きが失われる」ということで、バランスが大切なのだそうです。

草原の緑と、駆け抜ける馬の姿を想像させてくれる石です。

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2006年8月29日

朝露に輝くスミレ草 / ベニトアイト

ダイヤモンドのような光の煌きと、その輝きにも負けない鮮やかなスミレ色。
ベニトアイトは私の特に好きな石のひとつです。

この石は1906年にアメリカ合衆国カルフォルニア州のサンベニトで発見され、その発見場所にちなんで「ベニトアイト」と名付けられました。

ベニトアイトの特徴はこの清々しい青色の他に、光の分散による虹色のファイアと、見る角度によって色の濃淡が変化する多色性があります。
また、結晶構造として珍しい三角板状に結晶することもこの石の特徴となっています。

サンベニトでこの石が発見された後も宝石質のものが他所で発見されることはなく、サンベニトが世界で唯一の産地となっていました。
しかし、先日そのサンベニトの鉱山もついに閉鎖されたとの話を聞きました。
この美しい石が今後は手に入らなくなってしまうのかと思うと、本当に残念です。

投稿者 utsuho : 00:21 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2006年8月 4日

鮮紅の煌き / コベライト・イン・クォーツ

水晶の中で鮮やかな炎のように妖しく煌く光……。
上手く写真に撮れませんでしたが、雰囲気は伝わりますでしょうか。
この石は水晶の中に微細なコベライトの粒が入ったもので、ピンクファイアクォーツとも呼ばれます。

通常、ルースはクリーンなものほど良いものとされますが、この石はインクルージョン(内包物)を楽しむ珍しい石です。
水晶はその透明感もさることながら、紫水晶や煙水晶、ファントム・クォーツなどいろいろとな形態を見せるので、一度水晶の魅力にとりつかれてしまうと大変なことになります。

この石のことを知ってからぜひとも自分の眼で見たいと思うようになったのですが、イベント等でもなかなか見つからず、しばらくの間探し回っていました。
そして、今年の6月に「東京国際ミネラルフェア」で、ようやく出会うことができました。
やはり出会うまでに苦労したこともあって、手に入れたときの喜びもひとしおです。

投稿者 utsuho : 00:23 コメント (0) トラックバック (0) | 鉱石

2006年6月21日

茜さす暁の空 / エオスフォライト

今は梅雨で、太陽が出ている時間は本当に少ないですが、それでも晴れた日などは太陽が出てくるのも早くて、もう夏も近いと思わせてくれます。

エオスフォライトは、そんな明け方のやわらかな陽の光を閉じ込めたような石です。

語源は、ギリシア語で夜明けを意味する「Eosphoros」。
和名も同じく「曙光石」「あけぼの石」と呼ばれています。

夏の真っ盛りの日差しは苦手ですが、明け方の涼しい空気に触れるのは気持ちいいですね。

投稿者 utsuho : 22:50 コメント (4) トラックバック (0) | 鉱石

黄昏時の群青の空 / タンザナイト

1967年にタンザニアのキリマンジャロ山で発見された煌くような青紫色の石。
この宝石をティファニーが発表するにあたり、タンザニアの夕暮れ時の空にちなんで「タンザナイト」と名付けました。
そのネーミングは見事に当たり、「タンザナイト」の名は瞬く間に世界中へと広まりました。

この石はゾイサイトという鉱物の一種で、本来は単純に「ブルー・ゾイサイト」と呼ばれるものでした。
それを世界中でもてはやされる宝石にまで地位を押し上げたのは、もちろん石自身の美しさもありますが、それと同時にこのネーミングの効果があったといえるでしょう。

この石を見つめて、遠くキリマンジャロ山の夕暮れに想いをはせてみるのもいいですね。

投稿者 utsuho : 22:47 コメント (2) トラックバック (0) | 鉱石

2006年6月 4日

第19回 東京国際ミネラルフェア

新宿のセンチュリーハイアット・スペースセブンイベント会場で開催された、「東京国際ミネラルフェア」へ行ってきました。
国内最大規模の鉱物・化石の展示即売会です。

日曜日だけあって、さすがの人出。
会場に入ってすぐに、熱気に圧倒されました。
鉱物好きってとてもマイナーな趣味だと思うのですが、どこからこんなに人が集まるんでしょうね……。
もっとも、私もそのひとりなのですが。

今回は欲しい石があったので、その石を求めて右往左往。
あまり見かけない石なので、こういうときに頼るものは自分の目と足しかないんですよね。
ブースをひとつひとつ回って、人ごみをそっとかき分けて、ルースのトレイを確認してはがっかりする。と。
その繰り返しです。

ですが、ほぼ会場を一回りしようという頃、とうとう見つけました。
こういう出会いがあると、本当に嬉しいですね。苦労して回った甲斐がありました。
そのディーラーさんは、ツーソンショーでいくつか買ってきてあったようで、そのなかから一番気に入ったものを選ぶことができました。
気分が高揚していたせいか、ついでに他の石も一緒に買ってしまいました(笑)

いつか、この石についての記事が書けるといいなあ。

投稿者 utsuho : 22:27 コメント (2) トラックバック (0) | イベント,鉱石