2012年4月23日

居合道日記 / 八方心眼

私は、いわゆる「気」や「気配」といった第六感のようなものを信じません。
居合の型にも「殺気を感じて、その機先を取り」、「後に敵意を感じ振り向きざまに抜き打つ」というような記述が、端々に出てくるわけですが、そもそも気配ってそんなに便利なものではないだろう、というのが私の考えです。

前を行く人の歩幅、後ろを歩く人の足音、季節の空気の匂いと人混みでの人いきれ。
花の匂いに草の香り、砂ぼこりを含む風の味、人の潜んだところから立ち上る熱気。
人間に備わった五感を研ぎ澄ませていれば、視線の外のことであっても意外に周りの状況は把握できるものです。

そうした、視線によらない状況把握をして、「八方心眼」というのかな、と私は考えています。

五感を鍛えるなんていいますが、ちょっと周りに心を配りながら街を歩いて、美味しいものを食べて美味しいと感じ、きれいな花を見てきれいだと感じ、さわやかな風に心をゆだねる。これだけでも充分稽古になると思っています。

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2012年2月28日

居合道日記 / 袴の結び

みなさんは、袴紐はどのように結んでいますか?
私は「結び切り」にして、余った部分は腰の横で巻きつけています。

「十文字結び」や「一文字結び」などの結び方もある中で、なぜ「結び切り」にしているかと言いますと、礼法的なことはさておいて、一番きっちりと締まってほどけにくい、戦闘に適した結び方だからです。

「十文字結び」や「一文字結び」では結び目が弱く、激しい動きを繰り返した場合に結びが解ける可能性があります。
いつ激しい斬り合いの場に遭遇するかもしれないという心構えをするならば、こうした緩みやすい結び方は「武道的に正しくない」と考えます。

では、礼式的な観点ではどうなっているのかと思い、小笠原流の本をちょっとのぞいてみましたが、ここでも袴の結びは「結び切り」になっているようですね。

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2012年2月 4日

居合道日記 / 四方刀のこと

無双直伝英信流抜刀法の基本の型に「四方刀」という業があります。
それまでに習う業では一対一の状況であるのに対し、一対多の状況での業になります。

歩行中、4人の敵に囲まれた、という状況です。絶体絶命です。
この状態から生き抜けるためには、自身の業の冴えだけでなく、相手との心理戦を勝ち抜く必要があると考えています。

え?居合に心理戦って??と思われる方もいると思うので、また図示していきます。

4人の敵をA、B、C、Dとした場合に、まず切りかかってくるのは前衛であるAとB。C、Dは後詰になります。
当面の敵であるA、Bを相手にした時、きっちりとAに向き直り、Aを切り倒すべく渾身の抜きつけを(切っ先まで)行ないます。この時に、足音や空気などでBの位置を測りながらも、決してBのことを気にしているそぶり見せないように気をつけます。

ここで、Aは、「自分に向かって渾身の一撃が来るのなら、こっちは無理に勝負をせず、斬りつけを外せるようにしておこう。その間にBが斬りつけるだろう」という考えになります。

また、Bの心理としても、「Aに向かっている間に、足を速めて間合いを詰めて、斬りつける!」となるでしょう。

Aの足をゆるめ、Bの間合いが詰まったところで、身体を反転させてBの胸部を突く。
すぐさま、予想を外れたAの心の隙をつき、Aに斬りつける。

後詰であり準備の整っていないC、Dに向かって一気に斬りつけることで危機を脱出する。

と、こんな感じで考えていますが、いかがでしょう。

正統21代宗家の教本には四方刀は「右敵を柄頭にて牽制しつつ抜刀し」とあるのに対し、連立は「静かに鯉口を切り」とあります。ここは敵にこちらの抜刀を気付かせるかどうか、気・体の制御の教えだと、私は考えています。

投稿者 utsuho : 00:32 コメント (0) トラックバック (0) | 居合道

2012年1月 7日

居合道日記 / 2012年初稽古

今日は居合の初稽古でした。
春の大会には仕事の都合で出られないし、昇段審査の時期でもないので、しばらくは目先のことにとらわれずに、業や身体の底上げを目指していきます。
あと、大会などを控えている後輩に向かってピシパシ(笑)

今年の目標は、秋の大阪大会への参加かな。

投稿者 utsuho : 22:59 コメント (0) トラックバック (0) | 居合道

2011年12月10日

居合道日記 / 北大居合道部15周年

北大居合道部15周年記念の忘年会へ行ってきました。

ちょっと遅く着いたので、会場に入るなり大勢の学生達。
私のいた頃の居合道部とはずいぶん変わったなあ……と感慨しきり。
半数が女子とか、なんてうらやま!……いやいや(笑)

学生達のノリには残念ながらついていけないのですが、札幌を遠く離れた身として今の居合道部の様子を聞くのは楽しいです。
現在の部長も、とても頼もしい方でした。
そして、石垣先生もまだまだ元気そうでなにより。

2段、3段の学生達から、「来年は全国大会出たいです!」という言葉を聞くのは、本当に嬉しい。
これは、こっちもなんとしてでも行かないとなあ。

面倒なOBのワガママに付き合って、色々と動いて働いてくれた後輩達に、感謝です。

投稿者 utsuho : 23:16 コメント (0) トラックバック (0) | 居合道

2011年11月19日

居合道日記 / 気剣体の不一致

居合をやっていて、業に入る前、どのようにしていますか?
2、3度深めに呼吸を取って、気力が丹田に充実したところで左手をかけ鯉口をきる、気力と柄頭で相手を圧し、鞘離れの一瞬に抜き放つ……といったところでしょうか。
気・剣・体の一致……いい言葉ですね。


でも、それっておかしくないですか?


座っている時、あるいは歩いている時、少なくともこちらが戦闘状態でない時に向けられた敵意に対処する術として、居合の業であるはずです。
こちらの気力が充実するまで、敵がいちいち待ってくれるはずもありません。
私が敵の立場だったら、深い呼吸の終わり目「居着いた」瞬間を狙います。

気の充実、己の体勢の如何に関わらず、いざ敵意を向けられた瞬間に、心と体を戦闘状態まで持って行き状況に対処するという練習も必要なのではないでしょうか。
どういう練習をしたらそれが鍛えられるか、私自身もわかっていませんが……。

もちろん、気剣体の一致を見た立派な演武はとても重要です。
ただ、それと同時に、気剣体の不一致を受け入れる心構えというのも重要なのだと私は考えています。

投稿者 utsuho : 23:45 コメント (4) トラックバック (0) | 居合道

2011年10月10日

居合道日記 / 宗家講習会

9日、10日と、鎌倉の鶴岡八幡宮研修道場で行なわれた全日本居合道連盟の無双直伝英信流宗家講習会へ行ってきました。
講師は池田宗家と岐阜の福井先生、9日は刀法、10日は抜刀法・正座の業を教わりました。

期せずして最前列真ん中という好位置になったので、御宗家からも福井先生からも沢山指摘などを受けました。
こちらも、これ幸いと思い切って、日頃の稽古で疑問に思っていることを訊いてみたり。

ただ押し付けるのではなく、業の深いところまで考えさせられる御宗家の話し方は、とてもよかったです。

私自身にとってもよい稽古になりましたし、それよりもなお、たくさんのものを道場へ持って帰れることが嬉しいです。

投稿者 utsuho : 21:14 コメント (3) トラックバック (0) | 居合道

2011年9月 9日

居合道日記 / 立膝の納刀

ミツヒラさんのところに、このような記事がありました。

変化の過程(立膝の部横雲1)

変化の過程(立膝の部横雲2)

変化の過程(立膝の部横雲3)

この記事によると、納刀時に右足で小さく半円を描く記述はあっても(元々は右足はまっすぐ引く)、最後に左足を右側に寄せる動作はどこにも書かれていないそうです。

ひるがえって、私の納刀時の動作は……
 刀の三分の一ほどを鞘に納めたところから、右足をまっすぐ引く。
 刀の三分の二ほどを鞘に納めたところから、右足で小さく半円を描くように引く。
 左足を内側に折り曲げる
という手順を踏んでいます。

ミツヒラさんには「派手好きは魅了されたのでしょ。」と一蹴されている所作です。

この所作について、浅学な私なりに考察をしてみようと思います。

まず、横雲の抜き打ちまでの動作として
   ・両手がかかる
   ・両膝が詰まり、腰を浮かせる
   ・右足を出し、左足を正対させ、横一文字に抜き付ける
と分解してみます。
特に左膝、左足に関しては「膝を詰める」「左足を正対させる」の2点の動作が入っています。

さて、納刀の際の姿勢ですが、「納刀後、本来ならば、立膝に座るもの」を省略して、現在の蹲踞の形になっているのではないかと考えています。

そういう意識を持って手順を考えて見ます。
  ・右足を引き、右膝を開く
  (この際、半円を描こうが、まっすぐ引こうが、あまり変わらないと思います)
  ・このままの状態だと、右膝が開き、左膝が正対しているため、身体が右前を向くことになってしまいます。
  ・それではよろしくないので、平仄を合わせるために左足にもなんらかの動作が必要になります。
  ・抜き出しのときに「膝を詰める」「左足を正対する」動作をしたのだから、今度は逆に「膝をくつろげる」「左足を内に折る」とするのが正しいのではないでしょうか。なんか、二十一代宗家、二十二代宗家の間を取ったような足さばきになってしまいました。
  ・私としては、左足を寄せる、つまり立膝に座った時と同様に背筋から臀部中心の線の下に左足踵を位置させる必要がある、と考えます。

ここまで考えた上で、さてしっかりとテキストに当たりたいな……。

投稿者 utsuho : 23:23 コメント (4) トラックバック (0) | 居合道

2011年8月14日

居合道日記 / 恥ずかしながら……

居合道関連のサイトを見ていたら、田宮流の居合道歌にこのような歌があることを知りました。

 極意とは表の内にあるものを心尽しに奥な尋ねそ

私が以前に書いた記事「居合道日記 / 秘奥は初太刀にあり」は、この歌とほぼ同義ですね。

古来より伝えられていることを知らなかった自分が、自分で考えたこととして語ってしまったのは恥ずかしいことだな、と反省。
それと同時に、やはり日々の稽古で感じること考えることを怠ってはいけないとも思うので、また今後も放言していくと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

投稿者 utsuho : 04:27 コメント (2) トラックバック (0) | 居合道

2011年7月10日

居合道日記 / 湘南東支部合同稽古

鎌倉武道館で行なわれた湘南東支部の合同稽古に行ってきました。

今回は、奥居合居業を習いました。
自分の中で課題となっていた「霞」と「戸詰」。
日頃から意識していることについての補強にはなったけれど、新しい発見ではなかったかな。
またも、北海道で先生がどれだけ多くのことを教えてくれたか、という再確認になりました。

方向は良し。
後は、考えているように身体を動かすための、日々の稽古です。

投稿者 utsuho : 23:35 コメント (0) トラックバック (0) | 居合道