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2012年2月 4日

居合道日記 / 四方刀のこと

無双直伝英信流抜刀法の基本の型に「四方刀」という業があります。
それまでに習う業では一対一の状況であるのに対し、一対多の状況での業になります。

歩行中、4人の敵に囲まれた、という状況です。絶体絶命です。
この状態から生き抜けるためには、自身の業の冴えだけでなく、相手との心理戦を勝ち抜く必要があると考えています。

え?居合に心理戦って??と思われる方もいると思うので、また図示していきます。

4人の敵をA、B、C、Dとした場合に、まず切りかかってくるのは前衛であるAとB。C、Dは後詰になります。
当面の敵であるA、Bを相手にした時、きっちりとAに向き直り、Aを切り倒すべく渾身の抜きつけを(切っ先まで)行ないます。この時に、足音や空気などでBの位置を測りながらも、決してBのことを気にしているそぶり見せないように気をつけます。

ここで、Aは、「自分に向かって渾身の一撃が来るのなら、こっちは無理に勝負をせず、斬りつけを外せるようにしておこう。その間にBが斬りつけるだろう」という考えになります。

また、Bの心理としても、「Aに向かっている間に、足を速めて間合いを詰めて、斬りつける!」となるでしょう。

Aの足をゆるめ、Bの間合いが詰まったところで、身体を反転させてBの胸部を突く。
すぐさま、予想を外れたAの心の隙をつき、Aに斬りつける。

後詰であり準備の整っていないC、Dに向かって一気に斬りつけることで危機を脱出する。

と、こんな感じで考えていますが、いかがでしょう。

正統21代宗家の教本には四方刀は「右敵を柄頭にて牽制しつつ抜刀し」とあるのに対し、連立は「静かに鯉口を切り」とあります。ここは敵にこちらの抜刀を気付かせるかどうか、気・体の制御の教えだと、私は考えています。

投稿者 utsuho : 2012年2月 4日 00:32 | 居合道

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