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2011年11月19日

居合道日記 / 気剣体の不一致

居合をやっていて、業に入る前、どのようにしていますか?
2、3度深めに呼吸を取って、気力が丹田に充実したところで左手をかけ鯉口をきる、気力と柄頭で相手を圧し、鞘離れの一瞬に抜き放つ……といったところでしょうか。
気・剣・体の一致……いい言葉ですね。


でも、それっておかしくないですか?


座っている時、あるいは歩いている時、少なくともこちらが戦闘状態でない時に向けられた敵意に対処する術として、居合の業であるはずです。
こちらの気力が充実するまで、敵がいちいち待ってくれるはずもありません。
私が敵の立場だったら、深い呼吸の終わり目「居着いた」瞬間を狙います。

気の充実、己の体勢の如何に関わらず、いざ敵意を向けられた瞬間に、心と体を戦闘状態まで持って行き状況に対処するという練習も必要なのではないでしょうか。
どういう練習をしたらそれが鍛えられるか、私自身もわかっていませんが……。

もちろん、気剣体の一致を見た立派な演武はとても重要です。
ただ、それと同時に、気剣体の不一致を受け入れる心構えというのも重要なのだと私は考えています。

投稿者 utsuho : 2011年11月19日 23:45 | 居合道

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コメント

いつも新しい気付きをいただいております。

居合の呼吸ですね。 私は初代十段の先生に2年程教えていただけた中で、口癖のように「二呼吸いっぷく、一呼吸いっぷく」と我が準備体制につくための呼吸方法をよく言われておりました。

そんな中で数回、「すぐに相手が動いて斬って来たらどうだ?」と言われて座ると同時に手をかけて抜き付けて見せていただけたことあります。
ひょっとしたら空穂さんの言われていることを見せていただけたのかも知れないです。
ちなみに今は、上記呼吸方法さえあまりひんぱんには言われなくなりましたね。
守っている人はいますけど。
また、「場外で一礼して気を込めて競技開始線につく間も、帰って来て場外で一礼するまで 気を抜かない」と言われておりました。

ですから、常に呼吸は準備体制が出来た状態を保ちつつ、上記呼吸方法をして相手の動きを警戒しているのはどうでしょうか?

時には、内に隠した気迫を表に出して敵を制せれば良し、向かって来る気配で先をとるも良しとも理解しておりますが。

ちなみに今回、大阪の段別競技の進行役の方、「用意!始め!」のタイミングが一呼吸いっぷくで合っており、やりやすかったです。

投稿者 月のうさぎ剣士 : 2011年11月24日 00:21

>月のうさぎ剣士さん
そうですね。
月のうさぎ剣士さんの初代先生が言われていたことと、近いと思います。
内側に常に8割の気を込めておく、剣・体の業で初太刀を凌ぐ、など、いろいろ方法はあると思います。
気・剣・体の一致を見た業だけを「良し」とするのではなく、不完全な業も自分の業として受け入れていく必要があるのかな、と考えています。

投稿者 空穂 : 2011年11月25日 00:08

初代から3年程あいだが空き、現在ではその教えも話されない為、伝わらずに途絶えているようで、私も初代の教えを再び思い出す機会ができ有り難い思いです。
初代の口癖で、「居合は真剣でやるものだ。」「正座をする時、袴払いの際に下を向くな、前を見て着座しなさい。」「刀を持ってたつときは、覚悟を決めよ。」を思い出しました。
ですから多分、刀を手にした時から気迫を内に、即時速攻体制に身を置いておけと言われていたのやも知れないです。

そうすると常に呼吸は速攻体制にですから、「一呼吸いっぷく 二呼吸…」の必要性は何でしょうか?
空穂さんの、私が敵の立場だったら、深い呼吸の終わり目「居着いた」瞬間を狙います。

うーん、私も気になってまいりました。

対敵を前にした時、わざと呼吸方法をわかるようにして対敵を誘うのかも?って考え過ぎでしょうか。

いつ攻撃を受けるかわからない想定の場面で、相手の動きを自分の呼吸で誘うようにして勝ちをとる為の手段として考えると、御宗家の言われた「居合は先の先しか有り得ない」の御言葉もわかるように思えます。

荒い呼吸を聞かせたら、対敵もつられて先手を打って出るかも知れないですね!?

投稿者 月のうさぎ剣士 : 2011年11月25日 18:35

>月のうさぎ剣士さん
「敵の呼吸を読む」ということは、剣道では普通に行なわれていることです。
「敵に読ませない呼吸」や、逆に「敵に読ませる呼吸」を実践している人も多々いることでしょう。
(もちろん、「読み違える」ことも往々にしてあるわけで……)
こういう駆け引きについては、実際に対敵している武道の方がはるかに進んでいると思います。

「敵の思考をコントロールする(体術編)」を書こうと思っているのですが、またしても絵が上手く書けずに難渋しております(苦笑)。

投稿者 空穂 : 2011年11月25日 23:39

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