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2006年8月16日

杉浦日向子 / もっとソバ屋で憩う―きっと満足123店

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日々時間に追われる生活をしているからこそ、気持ちを休めるための憩いが大切になります。
かといって、旅行などでは予定を詰め込んだりと、かえって疲れる結果になることもあります。
この本で杉浦日向子さんが薦めているのは、大人の憩い場としての「ソバ屋」。
杉浦さんとソ連(ソバ好き連)がそれぞれの視点から、ソバ屋での憩いを書いています。

お酒の呑めない私は、残念ながらソバ屋でお酒をちびちびとやりながら、午後の遅い時間をゆったりと過ごすようなことはできませんが、それでも杉浦さんやソ連の皆さんの、艶のある紹介文にはつい引き込まれます。
この本に載っている店はもちろん、それ以外のソバ屋にも憩いはあります。
ソバ好き、ソバ屋好きなら、この本を手にとって、そのままソバ屋に行きたくなる一冊です。

 仲良しどうしでいったら、かけまたは天ぷらそばを、一碗まわし食べつつ、つまみとして呑むのもいい。並木のかけ汁で呑む菊正は格別。あつあつのを半分ばかし食いちらかし、おもむろに酒を追加。残り半分は、しばしほったらかしにして、さしつさされつ。さめやらぬころあいをはかって、つゆをたっぷり吸いこんで、グラマラスにふやけた天ぷら(芝エビのかき揚げ)と麺が、丼中にほぐれていくのを、碗のふちにやさしく接吻するようにして、口にふくむ。昼下がりの情事。最高にエロチックな、禁断の桃源郷。
 ようこそ。ソバ好き連へ。おとなになって、良かったね。
(杉浦日向子とソ連「もっとソバ屋で憩う―きっと満足123店」より)

投稿者 utsuho : 2006年8月16日 00:05 | 読書

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