2006年6月 1日
米澤穂信 / 夏季限定トロピカルパフェ事件
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「この街の、お菓子屋さんの場所を記した地図だね」 小佐内さんは一度小さくこくりと頷き、それから小刻みに首を横に振った。 「そうだけど、そうじゃないの」 「と言うと」 「これはね」 秘密を告げるように、真剣なまなざしで、 「わたしの、この夏の運命を左右する……」 「運命……」 「<小佐内スイーツセレクション・夏>」 ぼくはゆっくりと玄関のドアを閉めた。 (米澤穂信「夏季限定トロピカルパフェ事件」より)
小市民を目指す小佐内さんと小鳩君の高校2年の夏休み。
前作「春季限定いちごタルト事件」の続編です。
今回もいくつかの短編から構成されて全体としてひとつの物語を形成していますが、前作よりも長編としての展開が色濃くなっています。
小佐内さんから小鳩君に手渡された<小佐内スイーツ・セレクション・夏>を中心にして、大小さまざまな事件があり、また、小佐内さんと一緒にスイーツ巡りをしているうちに、小佐内さんの思惑に巻き込まれていく小鳩君。
そして、最後に<セシリア>の夏季限定トロピカルパフェを前にしてなされる、甘味とは相容れない二人の会話。
最初から最後まで、見事な話の展開で、とても楽しめました。
今後の二人の関係はどうなってしまうのか、続きがとても気になります。
この本は「コンパス・ローズ」の雪芽さんの記事を読んで、興味を持ちました。
もしよろしければそちらもご覧下さい。
投稿者 utsuho : 2006年6月 1日 00:01 | 読書
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コメント
空穂さん、こんばんは。
最後の甘~いトロピカルパフェと、ブラックで苦みばしったふたりの会話、すごいコントラストでしたね。
ここから次はどういう展開にもっていくのか、
秋の小鳩君と小佐内さんが気になります。
投稿者 雪芽 : 2006年6月 1日 00:27
こんにちは。
やはり最後のシーンは衝撃的でした。
トロピカルパフェを前にしてあの会話……印象的でした。
今後が気になるところで、お預けをくらってしまいましたね。
投稿者 空穂 : 2006年6月 1日 10:15