2009年10月14日
米澤穂信 / 追想五断章
米澤穂信さんの「追想五断章」を読み終わりました。
伯父の営む古書店で働く菅生芳光は、北里可南子から父親の書いた五編の小説を探してほしいとの依頼を受ける。
一編ずつ小説が発見されるごとに明らかになっていく過去とは――。
米澤さんの小説はどの作品も空気感がよく出ているのですが、この作品ではどことなく頽廃的な雰囲気がよかったです。
まだ携帯電話もインターネットもない時代の「ものを探すこと」の様子が描かれているなあと思いました。
結末の削除されたリドル・ストーリーと最後の一行の組み合わせ、謎を追っていくうちに明らかになっていく過去、どうしても書かざるを得なくなった親としての想いなど、構成がよく練られていて最後まで楽しめました。
秋の夜長にじっくり腰を落ち着けて楽しめる一冊です。
投稿者 utsuho : 2009年10月14日 16:43 | 読書
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