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2009年9月27日

有川浩 / 植物図鑑

植物図鑑

有川浩さんの「植物図鑑」を読み終わりました。

冬の終わりの夜に、さやかは自宅の前で行き倒れている男を拾った。「咬みません。躾のできたよい子です」と言ったイツキとのルームシェアが始まって――。

さやかの家の近くの河川敷を舞台に、季節ごとにめぐる野草と物語の組み合わせは面白かったです。
有川さんならではのベタ甘ラブもしっかり入っていて楽しめました。

ただ、私の記憶というか思い入れとしては、ノビルがスパゲッティの具になったり、ノイチゴがジャムにされたりと、小洒落たものに料理されて美味しいと言っているのは、「ちょっとちがうかな」という気がしてしまいました。
ノビルだったら生でかじって悶絶したり、さっと湯がく程度で鮮烈な味を楽しむ。ノイチゴやグミなどは野生の渋味やえぐ味の中の甘味を味わって、食べ過ぎて腹を壊す。ツツジの蜜を吸おうとして花弁を噛んで口の中が青臭くなってしまうといった、小学生的な記憶が焼きついているんですよね。

まあ、小学生の精神ではベタ甘ラブな物語にはならないんですけど、物語との感覚ズレに、少々とまどってしまいました。

私自身の記憶や感傷はともかくとして、一章ごとの長さもちょうどよく、軽快に読んで雰囲気を味わえる一冊です。

投稿者 utsuho : 2009年9月27日 21:45 | 読書

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