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2009年7月23日

居合道日記 / 得意な業苦手な業

このたび、10日間ほど手術入院をしていました。別に命にかかわるものではないし、症状も手術も大したことはなかったのですが、創が癒えるまではしばらく居合もできないので、思考を深める方向でつらつらと語ります。

居合をやっているうちに、得意な業や苦手な業が出てくるというのは自然なことだと思います。
昇段審査や大会などに向けては、業を絞って得意な業をより伸ばす方向で稽古をしている方がほとんどだと思います。

ですが、居合の形として想定された状況においては、「苦手な業の状況だったので、上手く抜けずに敵に斬られました」ということはあってはならないことで、ひとつひとつの業は、否応なく与えられた不利な状況下で、それでも生き残る唯一の手段として、編み出されたものだと考えています。

ですから、武術・武道としての居合の稽古の目指す方向としては、得意な業をより伸ばしていくよりも、むしろ苦手な業をなくしてすべての業を生き残るに足る最低ラインより上にあげることが大事だと思います。
それと同時に、ごくたまに会心の一本ができることよりも、百本抜いて百本が同じ業となるような確実性も重要だと思います。

常に敵への備えを怠らないという観点で言うならば、得意な業だ苦手な業だということは、広言しない慎重さも求められるでしょう。

……と、ここまで考えてみましたが、あまりそのことばかりを突き詰めてしまうとそれはそれで面白味がないし、Blogであれこれ発信する楽しみもなくなってしまうので、どこで折り合いをつけるか、ということですね。

私自身を省みれば、苦手な業というのはあまりありませんが、これといって得意な業も思い当たりません。おそらくすべての業が段位並の業といったところではないでしょうか。
……大会でなかなか勝てない所以ですね(苦笑)

投稿者 utsuho : 2009年7月23日 21:18 | 居合道

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コメント

手術したのですか。大丈夫ですか?くれぐれも無理しないよう安静にお願いします。
苦手な業も得意な業も無いというのは正解だと思います。
この業のここ、あの業のそこ、という部分的な(振り付け的な)事ではないのですよね。
目先の刀の操作より体裁き足裁きが重要だと考えます。
そういえば以前誰かと大会や審査での業の選択はその場でのクジ引きにすればいいのにという話をしてました。
箱の中に業名を書いたボールを入れてそれを引いたらどうかとか。w
どうぞお大事に。

投稿者 ほそ : 2009年7月24日 11:01

>ほそさん
上の文はひとつひとつの業(順刀其の一、八重垣といったような)のことを意識して書きました。
部分的なことだけ得意(たとえば片手の袈裟切りが得意とか)でも意味がないのは、同じことだと思います。
すべての業の底上げをはかるには、やはりすべてに共通する体裁き足裁きの鍛錬が必要ですね。

クジ引き方式、いいですね!!
せめて大会のその場で業を発表(できれば勝ち抜くごとに変更していく)の方が、居合の目指す所に近いと思います。

入院手術は、痔ろうの切除だったのですが、これって手術でしか治らない病気らしいです。日常生活で苦痛があるわけではないので、二年以上もほったらかしていたのですが、実はあまり放っておくと危険なことをさっき知りました(苦笑)
今は切除あとがひきつれて痛みがあるのと、入院中に足腰が萎えてしまったことが懸念事項です。
9月の大会には出たいと思っているのですが、それまでにどれだけ戻せるか、ですね。

投稿者 空穂 : 2009年7月24日 13:44

苦手な業があまり無いとはすばらしいですね。
私は正直、あまり得意で無い業があります。
というか、好きな業とそうでない業があり、そうでないものはやや苦手になってしまっています。
そんなことではイカンのですけどねぇ・・・

くじ引きは私も賛成です。
それくらいの緊張感というか、臨機応変さは必要ですよね。

投稿者 TKB : 2009年7月25日 00:14

>TKBさん
私も好きな業嫌いな業はありますよ。
ただ、稽古内容に偏りが出ないように気をつけていますが……。
TKBさんは大会で結果を出している方なので、得意な業はすばらしいものを持っているんだろうなあと思っています。

クジ引き方式でどんな業がきても対応できるくらいの対応能力を求めてもいいですよね。

投稿者 空穂 : 2009年7月25日 09:12

9月は原宿ですよね。私も出られると思います。
体調を見ながら徐々にウォーキングを始めたらどうでしょうか。
p.s.
分かり辛い文章ですみません。各業共通して部分的な事を応用したり活かしていくので偏る事無く一つ一つの業が上達していくという事を書きました。

投稿者 ほそ : 2009年7月25日 11:29

>ほそさん
はっはっは、まだウォーキングすら(というか運動は負荷にかかわらずすべて)禁止なのです(苦笑)
退院時に「まだ散歩はやめてください」と言われてしまいました。
まだ輪ゴムが身体に入っている状態(笑)なので、動き出すのはこういうものが全部取れてからになりそうです。

大会に出たいと書いたそばから、別の用事が見えてきてしまい、なんかスケジュール的にあやしくなってきてしまいました。
いまのところ出られる確率は五分五分くらい……。
とりあえず申し込んでおくつもりですけどね。

投稿者 空穂 : 2009年7月25日 15:48

空穂さま

ご退院、おめでとうございます。術後の養生は大切ですので、是非お体ご自愛くださいませ。

さて、居合の業についてのお考え、大変勉強になりました。真剣での斬り合いだったら、苦手だとか言ってられないですよね。
空穂さまは、特に苦手、得意な偏りなく、全体にバランスよく業を習得していらっしゃるようで、素晴らしいですね。
私も得手、不得手のない技量になれるよう、一層稽古に励みます。

投稿者 三河武士 : 2009年7月25日 18:29

>三河武士さん
まずは、どうもありがとうございます。
たかだか10日間の入院でしたけど、ずいぶん身体がなまるものだと痛感しています。

居合をやっている方のBlogを見ても、こういう観点から居合を見つめている記事をあまり見かけないので、入院中の無聊を慰めつつ自分なりに考えてみました。

私自身の得意不得意というのは、自分自身の主観なので、また先生から見たら「この業はまだまだだな」というのはあるかもしれないですけどね。

まあ、頭でっかちに「バランス、バランス」と考えて稽古をするよりも、少しずつ苦手を克服していき、ふと気づいたときに全体的に満遍なく習得できている、という状況が理想なのかもしれません。

投稿者 空穂 : 2009年7月25日 21:24

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