2007年9月14日
近藤史恵 / サクリファイス
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近藤史恵さんの「サクリファイス」を読み終わりました。
かちり、とシューズがビンディングペダルにはまった。 こぎ出す瞬間は、少し宙に浮くような、頼りない感覚。だが、それは二、三度ペダルを回すだけで消える。 ホイールは、歩くよりも軽やかに、ぼくの身体を遠くまで運ぶ。サドルの上に載った尻など、ただの支えだ。緩やかに回すペダルと、ハンドルで、ぼくの身体は自転車と繋がる。 この世でもっとも美しく、効率的な乗り物。 (近藤史恵「サクリファイス」より)
どうでしょう、ロードレーサーに乗っている人であれば、この文章を読んだだけで共感するものは多いのではないでしょうか。
また、自転車ロードレース特有の「エース」と「アシスト」という関係も物語の重要な点として絡んできます。
主人公の白石誓は勝利を目指すよりも、アシストとしてエースのために尽くすことに喜びを感じていたが、そうした誓の思惑に関わらず、周囲から実力を認められていく。
そして、ヨーロッパのステージレースの最中に起こった事件……。
自転車ロードレースの魅力もたっぷりと詰め込まれ、ミステリとしての物語の展開もよかったです。
近藤史恵さんの作品を読んだのはこれが初めてですが、とても綺麗な文章を書く方だと思いました。
ロードレースファンはもちろん、そうでない人にも読んでもらいたい作品です。
投稿者 utsuho : 2007年9月14日 23:54 | 読書
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コメント
こんばんは!
この本はロードレースを知らない人間にもとても面白く読めました。
自転車での疾走感てどんなだろうって、自転車に乗れないので想像するだけです^^;
投稿者 雪芽 : 2008年2月12日 23:08
こんばんは。
そう、ロードレースになじみのない人に向けて、わかりやすく解説しているなあと思いました。
それでいて、エースとアシストの関係などロードレース特有のことが物語が上手く絡んでいるんですよね。
もし機会があったら、ロードレースの中継も見てみてください。自転車に乗れなくても、きっと手に汗握ることと思います。
投稿者 空穂 : 2008年2月13日 14:36