2006年12月20日
大西科学 / ジョン平と去っていった猫
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大西科学さんの「ジョン平と去っていった猫」を読み終わりました。
「ジョン平とぼくと」シリーズの2作目です。
今回は作品内の時期が春休みということで、あまりクラスメイトの出番がないのが寂しいです。
ただ、この作品世界での魔法のあり方や、主人公である重の世界のとらえ方など、前作の魅力はそのまま引き継いでいます。
そして、やっぱりジョン平はいい味を出していますね。
重を取り巻く環境も少しずつ変わってきましたし、今後が楽しみな作品です。
「ここで何してたの」 「うん。あのね」 「うん」 「追われてるの。かくまってくれる?」 ぼくは今まで一七年間生きてきて、こんなに浮世離れした話は聞いたことがなかった。ちょっと考えてみて欲しい。あなたが春休み、部活動をしていたとする。ちょっと席を外して、戻ってきたら、そこに知らない女の子がいて、かくまって欲しいと言われる。どうだろう。どういうことを言えば一番いいのか。 「冗談だろ?」 ぼくが言ったのは、そんなことだった。自分でも芸がないと思う。 「うーん」 三葉はそう言うと、もう一列、チョコレートを口に入れた。ジョン平が、たいへん情けない顔でそれを見ている。それを見て、ぼくもなんだか情けなくなった。 (大西科学「ジョン平と去っていった猫」より)
投稿者 utsuho : 2006年12月20日 16:46 | 読書
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