2006年9月27日
米澤穂信 / さよなら妖精
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米澤穂信さんの「さよなら妖精」を読み終わりました。
舞台は1991年、雨宿りをしていた少女マーヤとの偶然の出会いからはじまった、新しい世界。
マーヤの口癖である「哲学的意味がありますか?」は、なかなか的を射た疑問を投げかけてきます。
遠くユーゴスラヴィアからやってきたマーヤとの交流を通して日本の姿を見て、日本文化における日常的な疑問点について考えさせられます。
マーヤの故郷であるユーゴスラヴィアという国家について知っていくうちに守屋に芽生える微かな欲求。
そして唐突に訪れたユーゴスラヴィアの崩壊と、その故郷へ帰っていったマーヤの安否について考えをめぐらせる……。
ミステリとしては全体的に弱いけれど、普段は見過ごしがちな日常的な文化と思春期の高校生の「何かをどうにかしたい」という思いを見事に描いた作品です。
投稿者 utsuho : 2006年9月27日 23:51 | 読書
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