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2006年8月 7日

小野不由美 / 屍鬼 1~5

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毎日暑い日が続きます。
こういうときには、ホラーでも読んで身も心も涼しくなってみるというのはどうでしょうか。

外部より隔絶された「外場村」で連続して起こる、原因不明の伝染病。
そして村に伝わる「起き上がり」の伝承。
徐々に浮かび上がる、「屍鬼」の存在……。

屍鬼に対してゆらぐ静信の心と、敏夫の信じる正義が好対照となって物語が展開されます。
最初は物語がほとんど動かず、読んでいてじれったいほどですが、これが中盤から終盤にかけて坂道を転がるように加速度をつけて話が流れていきます。
この「序・破・急」の展開があまりに見事で、読み進む手も自然と速まります。

人の姿をして忍び寄る屍鬼も恐ろしく、また、それと同じくらいに生きている人の心が恐ろしい。
日本古来の伝承と吸血鬼物語を組み合わせた、小野不由美さんならではのホラーの傑作です。

投稿者 utsuho : 2006年8月 7日 00:04 | 読書

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