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2009年1月 3日

有川浩 / クジラの彼

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有川浩さんの「クジラの彼」を読み終わりました。
自衛官の恋愛をテーマにした短編集です。

「クジラの彼」は会話のセンスといい、日に日に増していく状況のつらさ、お互いの心情の揺らぎなどが胸にきました。

「ロールアウト」は、あまり入り込めなかったです。
たかがトイレくらいでという気持ちが先に立ってしまった……、想像力が足りないのかしらん。

「有能な彼女」の夏木と望のような会話は、ものすごく体力を使うと思います。
有川さんは、こういう言葉のやり取りの中でのすれ違いを描くのが上手です。

気に入ったのは、「脱柵エレジー」ですね。
やさぐれた清田二曹の体験談や、吉川三曹とのコンビネーションの妙がよかったです。

「海の底」や「空の中」の番外編もあるので、本編も読んでみたくなりました。
そして、巻頭にある徒花スクモさんのイラストも、華があって涼しげでとても良かったです。

あとがきの中で、有川さんは「活字でベタ甘」と開き直っていますが、甘いだけじゃ恋愛は扱えないということまでもきちんと描いているのが、有川さんの濃やかだと思います。
そう考えると、そこまで含めてのベタ甘なのかな?

投稿者 utsuho : 2009年1月 3日 15:31 | 読書

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