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2006年7月26日

三雲岳斗 / 海底密室

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深海4000メートルにある実験施設「バブル」で発生した研究員の自殺。
そして、「バブル」の取材に訪れた雑誌記者の前で、さらに2人の研究員が死亡する。
一見すると密室での事故であるが、その一言では片付けられない違和感の残る状況……。

この作品は近未来を舞台にした、SFミステリです。
前作の「M.G.H」とは時系列を同じくするものの、「M.G.H」よりは数十年も前の話となっていて、前作の世界では一般的となっていたアプリカントも、今回は実験バージョンのみの登場となっています。

三雲さんの作品を読むのはこれで2作目ですが、文章に安定感があっていいですね。
状況の説明や話の展開もスムーズで、自然に引き込まれました。
「バブル」という特殊な場所での生活環境や人間関係というのも、なかなか興味ありますね。

ただ、ちょっとトリックが強引だった点が心に引っかかりました。
詳しくは言いませんが、理論上はそうなるとわかっている物理現象であっても、馴染みの薄いものをトリックとして使われると、少々現実味が薄れますね。
その点では、冒頭のクロストーク現象なんかは、身近な現象でなかなかいいところをついていたと思うのですが、このエピソードがあまり効果的に使われなかったのが残念です。

投稿者 utsuho : 2006年7月26日 00:03 | 読書

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