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2016年3月21日

ZABADAKライブ / 30周年記念演奏會 第弐夜

ZABADAK30周年記念演奏會 第弐夜。
とてつもない熱量が渦巻くような、なんとしても書き留めたい、と思うライブでした。
記憶違いのところも多々あるかと思いますが、それはご容赦ください。

連休を独りで出歩きっぱなしというのもいかがなものかと思い、当初は第壱夜のみ参加する予定でした。
ところが、前日の第壱夜がとてもとても良すぎて、「これは第弐夜も聴かないと後悔する」との思いで急遽当日券を取ることにしました。
当日券、あってよかった!

立ち見ゾーンは舞台に向かって右手後方。
ここからなら藤井珠緒さんがよく見える!と思ったら、第弐夜に珠緒さんはいなかったのでした、残念...。

まずは、吉良さんと小峰さんの二人きりで登場。
記念すべき30周年の第弐夜は「光の庭で」から幕を開けました。

ここで斎藤ネコカルテットが舞台に上がり、吉良さんと小峰さんはいったん舞台を降ります。
ネコさんが恥ずかしそうに「前座ですから...」とつぶやいた後、始まったのが「桜」。
この、心のざわつく季節に、あの「桜」ですよ。

弦の響きに心奪われるような「桜」が終わった後、再び吉良さん、小峰さんが登場。
「光の庭で」「マーブルスカイ」と続いた後、なんとここで「EASY GOING」!
ライブ終盤の定番曲がこんなに早く登場するとは、思ってもいませんでした。

演奏後、ネコさん達はNHKの仕事へと戻っていきました、とさ。
なにか、いろいろとおかしいですね。


第二部は日比谷カタンさんの登場。
張り出しステージにスポットライトが当たります。
そういえば10年前にここで行われた上野洋子さんのソロでは、あそこで暗黒舞踏が行われたな...、あの張り出しはキワモノ専用ステージなのか...。

なんて考えているところに始まったのは「遠い音楽」。
と思いきや、早送りのように歌詞が曲がワープしていく。

ナンナンダ、コレハ!?

これは、あれだ。「大人が本気で遊んでいる」ってヤツですね。
あふれ出るZABADAKへの愛と、次々と繰り出される超絶技巧で笑いが止まりませんでした。


15分を超えるノンストップ抱腹絶倒のカタンステージが終わったあと、いよいよ第三部!
というところで、あわただしく向島ゆり子さんがステージに出てきて「システムトラブルがあったので、いったん休憩にします」とのこと。

20分くらい経過したでしょうか...、ようやく照明が落ちてメンバーが登場。
ところが、どこか様子がおかしい、というか、肝心の吉良さんが出てこない。
小峰さんの口から、吉良さんが体調を崩して病院へ向かったことが告げられます。
「このようなことになってしまい、申し訳ありません」「この埋め合わせは必ずします」という言葉を聞いて、今日のライブはここで終わりだと思いました。
ただ、小峰さんは続けます。
「これだけのメンバーが集まったことだし...」と。
「どこまで行けるかわからないけれど、やれるところまでやりましょう!」と。


大きな不安を抱えながらも、第三部が始まりました。
ケレン味たっぷりの衣装をまとった伊藤ヨタロウさんが全身で「Peculare Night」を表現します。
この人、いったい幾つなんだ?

曲の前にメンバーが簡単に打ち合わせをして、それぞれの担当を確認しあっていたものの、そこから表現される音は、まったく違和感のないものでした。
超絶技巧を誇るメンバーが、さらにしっかり曲を理解しているからこその芸当でしょう。

清浦夏実さんが歌うのは、もちろん「旅の途中」。
やっぱり、ここで吉良さんがいないというのはとても悲しいことでした。
大きな世界の広がりを感じさせる曲だけに、一番、吉良さんの不在が大きかった曲だったかな。
思えば、清浦さんはこのステージで唯一「普通のアーティスト」だった気がします。

続いて、Darieさんこと濱田理恵さんは煌びやかなサリーで登場。
Darieさんバージョンは、とても婀娜っぽくて人間臭さのある「Deir Paider」でした。

種ともこさんも今年が30周年ということで、新居昭乃さん、ZABADAKと30周年の同期だそうです。
昭乃さんにも声をかけたけれど、この日は自身のライブがあるため来られなかったとのこと。
いや、このメンバーの中に昭乃さんもいたらと思うと鼻血出ますがな(笑)

誰のときだったかな、ゲストの方に「30周年おめでとう!」と言われて、小峰さんが一瞬「いや、私は...」と言いよどんだ後、「ありがとう!」と応えていたのが印象的でした。
ZABADAKには途中から参加した小峰さんだけれど、「ZABADAKとして」この場に立ってお祝いを受けるべきだと決めたのでしょう。

「妖精のような」種さんの次は、「妖怪のような」いでたちの白崎映美さんの登場。
いや、山姥かな。
コブシの効いた「はじめてうたったうた」を披露してくれました。

杉林恭男さんは「Hervest Rain」を歌いたい!と希望したところ、重役会議(笑)で却下されてしまったそうです。
そこで、杉林さんはデモテープを送りつけて、「こういう風にやりたい!」とアピールして、重役会議を通したのだそうです。
吉良さんのコーラスパートは小峰さんが代役。「やったことないけど」と言いつつ覚悟を決める小峰さんの漢ぶりが頼もしかったです。
その、杉林さん渾身の「Hervest Rain」。
電子音と尺八と。
ロック調、というのでしょうか(上手い言葉をしらないけれど...)、明らかに原曲とは解釈が違うのだけれど、確かに豊穣の雨の歌でした。

原マスミさんは、向島ゆり子さんの方に振り向いて「ゆり子、適当に音つけて」と言うと、やおら「注文の多い料理店・序」の朗読を始めます。
いや、朗読ではないですね。
まるで語り手が自分の言葉で語っているようでした。
その言葉がたまたま「注文の多い料理店・序」とまったく一致しただけだったということです。

まだまだ大きな難問が立ちはだかります。
次の曲は吉良さんが弾く予定だったため、メンバーの誰も譜面を持っておらずコードがわからないということ。
「しょうがない、アカペラで...」という声も聞こえる中、今度は難波さんから驚きの言葉が出てきます。
「業務連絡。お客さんの中に「小さい宇宙」のコード譜をお持ちの方はおりませんでしょうか」
おいおいおい...と誰もが思う中、しばらくすると客席からステージへタブレットが渡されます。
逆の意味で、おいおいおい...と。
「ZABADAKはファンの育て方を間違った」と言った難波さんだからこそ、ファンのことをよく理解してあの言葉が出てきたんでしょうね。
問いかけられたとき、私も、「6対4くらいの確率で誰か持っているだろうな」と思いました(笑)

ステージ上の皆さんで、顔を突き合わせてタブレットを確認。
その様子はまるでうみねこの皆さんみたいでした。

そして、種さんがキーボードを担当して原さんの「小さい宇宙」が始まります。
少しずつ音が重なっていくようで、静謐で、優しい歌でした。

終わりもみえてくるころ、Darieさんのリコーダーと、小峰さんのアンデスから始まった「二月の丘」。
そして、「五つの橋はカタンさんが弾ける!」ということで、満場のカタンコールに迎えられて、再び日比谷カタンさんの登場。
このライブは、カタンさんのZABADAK愛に支えられたところが大きかったですね。
もちろん、満場の合唱です。

この素晴らしいライブの最後は「相馬二遍返し」。
ライブで聴くとムチャクチャ格好いい曲!!
躍動する小峰さんが神々しいまでに素敵でした。
あいにく聴き込んでいなかったので、合いの手で入れず...後悔。
この最高の熱量の渦に一緒に入りたかったよ...。

吉良さん不在の中で、メンバーを信頼しきってライブ続行を決意した小峰さん、小峰さんの信頼にたがわぬ力量を見せつけたメンバーの皆さんによって、ライブは成し遂げられました。
最後には、涙ぐむ小峰さんの口から、吉良さんに大事無いことを告げられて、幕を閉じました。

ZABADAKがこれまで築き上げてきた世界の重厚さで圧倒するような、間違いなくずっと語り継がれるステージでした。
のめりこむように、全身を耳にして音を感じ取って、終わった後も気の抜けたようで興奮しているような不思議な感覚がずっとしていました。

吉良さんにはゆっくり休んでいただいて、快復されることをお祈りいたします。

吉良さんの体調が戻ったら、きっと、小峰さんの「この埋め合わせは必ずします!」という言葉が果たされると思います。
いまから断言してしまいますが、そのライブはZABADAKの最高峰ですよ!

==========
ZABADAK Officialより セットリスト
1. 遠い音楽 / 吉良知彦(Gt.,Vo.)・小峰公子(Cho)
2. 桜 / 斎藤ネコカルテット[斎藤ネコ(1st.Violin)、グレート栄田(2nd.Violin)、山田雄司(Viola)、藤森亮一(Cello)
3. 眠れない夜のうた / 斎藤ネコカルテット・小峰公子(Vo.)
4. 光の庭で / 斎藤ネコカルテット・小峰公子(Vo.)・吉良知彦(Cho)
5. マーブルスカイ / 斎藤ネコカルテット・吉良知彦(Gt.,Vo.)・小峰公子(Cho)
6. EASY GOING / 斎藤ネコカルテット・吉良知彦(Gt.,Vo.)・小峰公子(Cho,tamb)


【第二部】日比谷カタン コーナー

7. 「ZABADAK」メドレー / 日比谷カタン(Gt.,Vo.)
遠い音楽, EASY GOING, ブランシェ, Deir Paidir, 満ち潮の夜, Around The Secret, 星狩り, 美チャンス~妖しい輪舞, Psi-trailing, 遠い旅の記憶, POLAND, オハイオ殺人事件, 水の踊り, 桜, 二月の丘, 旅の途中, Harvest Rain, Wonderful Life, わにのゆめ, 夢を見る方法, ガラスの森, 五つの橋(約15分ノンストップメドレー・全22曲)


【第三部】ZABADAK+Guest Vocals

ZABADAK:小峰公子(Vo.Acc.)、難波弘之(Key.)、楠均(Dr.)、吉田誠(B.)、向島ゆり子(Vln.)、鬼怒無月(Gt.)、伏見蛍(Gt.)
8. Peculiar Night / 伊藤ヨタロウ(Vo.)
9. 旅の途中 / 清浦夏実(Vo.)
10. Deir Paidir / 濵田理恵(Vo.,鍵盤ハーモニカ)
11. かえりみち / 種ともこ(Vo.)
12. はじめてうたったうた / 白崎映美(Vo.)
13. Harvest Rain / 杉林恭雄(Vo.尺八)
14. プロロオグ~宮沢賢治『注文の多い料理店』序.~小さい宇宙 / 原マスミ(朗読,Vo.)、種ともこ(Key.)、日比谷カタン(Gt.)
15. 二月の丘 / 濵田理恵(リコーダー,Cho.)、小峰公子(Vo.)
16. 五つの橋 / 日比谷カタン(Vo.,Gt.) 
17. 相馬二遍返し / 杉林恭雄(尺八)、小峰公子(Vo.)

投稿者 utsuho : 2016年3月21日 23:47 | ライブ

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