2023年12月17日

新居昭乃ライブ2023 / オリオンの庭

渋谷の Pleasure Pleasureで行われた、新居昭乃さんのライブ「オリオンの庭」へ行ってきました。
毎年恒例の年末ライブです、昭乃さんがどんな冬の空を描き出すのか、楽しみでした。

ライブ一番目の曲が題名わからなかったのですが、2曲目でなんと「Licao do vent」!!
まさか、この曲が来るとは。

他にも、舞い上がる雪の映像やChieさんのコーラスがとてもきれいな「凍る砂」から、これまた聴けるとは思っていなかった「炎のラクリマ」。
私が新居昭乃さんの歌声に出会ったのは、ちょうどライトノベル黎明期の「風の大陸」と「ロードス島戦記」。
あの頃のいろんなことも思い起こさせる選曲で、心がたかぶります。

そして、引き込まれるような「Campos Neutros」、「時の歌」......。

「dream, dream」でほっと一息ついたのもつかの間、クライマックスは「金の波、千の波」、「WANNA BE AN ANGEL」

終わってみれば、私が昭乃さんの歌声に出会って撃ち抜かれたころの曲ばかり。
自分の若かった頃に感じた想いと、ここまで年月を経てきたことの想いと、時の流れを感じるとても幸せな時間でした。

投稿者 utsuho : 22:20 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ

2021年12月25日

新居昭乃ライブ2021 / Silent Choir

やっぱり、せっかくBlogを作ってきたことだし、こまめに記録を残していきたいと思い直し、久しぶりのライブレポートです。
新橋のニッショーホールで行われた、新居昭乃さんのライブ「Silent Choir」へ行ってきました。

「オーロラ」から始まり「星の雨」。キラキラと光が舞います。
そして「Neverland」は聴くたびに好きになっていく気がします。

銀夏さんの歌「Lives」は初めて聴く曲、オシャレな曲調で「保刈さんの曲なのかな」と思ったのですが、はまたけしさんの曲とのことでした。
今回凄かったのは、まーくんのバイオリンに乗せた「Little Wing」。
新曲「Plastic Forest」はとても神秘的で沈み込んでいくような気持ちになりました。
そして、ストーリー仕立ての「金の糸の話」。歌詞もちゃんと知りたいし、昭乃さんの紡ぐ世界をもっと知りたいです。

今回は結城貴弘さんのチェロが入っているのですが、「dream,dream」での結城さんのチェロも良かった。
昭乃さんのサポートメンバーは、皆さん楽しそうに演奏しているので、聴いていて気持ちよいです。

最後はこれまた新曲の「薔薇の名前」から、「Haleakala」「WANNA BE AN ANGEL」。昭乃さんの歌声は天から降る声です、本当に。
アンコールは、昭乃さんがアカペラで歌い上げる「虹」。

初めて聴く曲が多くて新鮮で、どの曲もキラキラ輝いていて、暖かい雪に包まれるようなライブでした。

投稿者 utsuho : 22:54 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ,音楽

2018年12月30日

新居昭乃ライブ2018 / Electric Sheep

有楽町のヒューリックホール東京で行われた、新居昭乃さんのライブ「Electric Sheep」へ行ってきました。
ライブタイトルはもちろん、かのSFの名作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」からとられたもので、今回のテーマは「アンドロイドが見る夢」とのこと。
昭乃さんのSF性が大好き私としては、このライブタイトル聞いただけで期待が振り切れます。

会場のヒューリックホール東京は初めて行きましたが、シートがとても座り心地がよくて落ち着いて聴ける会場でした。

ライブはステージ上に昭乃さんはじめメンバーがダウンロードされる演出から、「Welcome to Riskcaution Corporation」で開幕。
薄くかかった紗幕に歌詞が浮かび上がる演出が素敵でした。

アレンジがまったく違った「羽よ背中に」、元の曲も素晴らしいのだけれど、こうやってガラリと色を変えてくるところに凄みがあります。
震えがくるほどギリギリを攻めきってくる昭乃さんのライブ、久しぶりの気がします。

そして、そこからの「風の羽」。ファンタジー色の強いこの曲が来るのはちょっと意外でした。
この曲の流れるようなメロディが好きなので、嬉しい選曲です。

SF的ではあるけれど、悲しい現実を歌った「Our Children's Rain Song」、厳しさも昭乃さんの曲の一面です。

「風の羽」をやったので来ないかと思っていた「奇跡の海」も聴けました。
坂本真綾さんの名曲ですが、昭乃さんが歌うと真綾さんとはまた違った芯の強さが感じられます。

独特の浮遊感を持つ「Tyrel」から、「バニラ」「VOICES」という流れも、夢のひとときのようでした。

「降るプラチナ」のアレンジも、これまでと全く違って意表を突かれたのですが、その後に流れてきたリズミカルなイントロに、「お、このリズムは「Reve」だ」と思ったら、まさかの「花かんむり」!
こんなアレンジの花かんむりが聴けるとは、本当にビックリしました。
そして、「降るプラチナ」「花かんむり」の演奏でノリノリで跳び回る魚さんの姿と言ったら!
重力を感じさせないような浮遊感でした。

夢のひとときはあっという間に過ぎ、最後は「WANNA BE AN ANGEL」。

アンコールで、このライブの新曲「羊の夢」と、いつもの昭乃さんからのプレゼント「虹」。
本当に、昭乃さんという膨大な世界を内に持ったアンドロイドがいて、その夢の中に吸い込まれたようなライブでした。

願わくば、もう一度と言わず何度でもこの夢を見られるよう、外部記録へのバックアップを......。

投稿者 utsuho : 23:46 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ,音楽

2017年12月16日

新居昭乃ライブ / Caravan Snow

品川のクラブexで行なわれた、新居昭乃さんのライブ「Caravan Snow」へ行ってきました。

今回は、tico moonの二人を迎えてのライブ、そしてタイトルが旅を想起させる「Caravan Snow」ということで、いったいどんなライブになるかと、期待に胸を膨らませていました。

まずは「Lhasa」からスタート。
この曲は、遊佐さんと昭乃さんが一緒に歌ったこともありましたね。
会場の全周に張り巡らされたスクリーンに広がる風景も見事でした。

ハープ、ギター、そして昭乃さんのピアノという編成なので、思い切ったアレンジで繰り出されます。
「New World」では、雨や水のイメージが強く印象に残りました。

ZABADAKの「Psi Trailing」も歌われました。
冬のイメージの強いこの曲、昭乃さんの歌声で聴けるのは幸せです。
途中、マイクが入らなくなるトラブルがあったのが残念です。
きっと、天上から吉良さんが聴きにきていたのではないでしょうか(笑)

Codex barbesの「Douce dame jolie」や、菅野よう子さんの「VOICES」「いにしえの瞳」「遠い青色」、坂本真綾さんの「奇跡の海」など、今回は昭乃さんの人とのつながりを丁寧に紡いでいるような選曲でした。
「いにしえの瞳」「遠い青色」なんて、まさかライブで聴ける時が来るとは......、感動。
昭乃さんの楽曲をいろいろと探し求めていた頃を思い出しました。

アンコールは保刈久明さんの新譜「Lamp & Pendulum」から「Moment And Light」から、最後は「虹」。
昭乃さんと一緒に駆け巡る、素敵な旅のひと時でした。

投稿者 utsuho : 23:11 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ

2017年9月 2日

藤野由佳ソロライブ

うれしい気分を抱えたまま、西荻窪の音や金時で行われた藤野由佳さんのソロライブへ足を運びました。

藤野さんのオリジナル曲、中でも「蒼黒」がとても良かったです。
これから、もっと良くなっていく予感のする曲です。

あと、最後に演奏した「秋の空」が、まぶたの裏に影を濃くした茜色の空が広がるようでした。
藤野さんの曲は、自身の見た風景を写し取ったようで、色彩や風の匂いまで感じるようです。

そして、予期していなかったという二度目のアンコール。
最後はやはりアイリッシュ「Yuka's favorite」のセットで締めました。

藤野さんの好きな世界、そして藤野さんの描く世界を堪能したライブでした。

投稿者 utsuho : 23:58 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ

2016年11月20日

新居昭乃ライブ / Little Piano Plus on the water

上野恩賜公園水上音楽堂で行われた、新居昭乃さんのライブ「Little Piano Plus on the water」へ行ってきました。
ファンクラブイベントの中で行われたファンによるイベント企画の中から選ばれた、野外ステージでのライブ企画です。
11月の下旬ということもあり、すっと降りてくる冴えた空気の中で響く昭乃さんの歌声......、ライブの前からとても楽しみにしていました。

ライブは黄昏時から、「ハロー、ハロー」でスタート。
このライブでは懐かしい曲を聴きたいなと思っていたので、「昼の月」が聴けたのはとても嬉しかったです。

藤堂昌彦さんをはじめとしたストリングスカルテットと、堀越信泰さんのギター、そして昭乃さんのピアノという編成。
「Neverland」は、野外の冴えた空気と歌声が溶け込むようでした。
そこから「サンクチュアリ・アリス」からの流れで、一気に昭乃さんの世界に取り込まれていきました。

「シアンの歌」は、このイベントの企画者であるサリーさんのリクエスト。
貴重な歌をありがとうございます。

野外というだけあって周囲の雑音はもちろんありました。MCの途中で鐘の音が響き渡ったり......(笑)
でも、音楽が流れ始まればまったく気になららないし、やはり昭乃さんの歌と冴えた空気はよく解けあっていました。

ライブの最後は「Stay」。
そしてアンコールは「一切へ」「羽よ背中に」。
「一切へ」は、とても好きな曲なので身を乗り出して聴いていました。

最後の最後に「金色の目 Premiere Version」。

今回なんといっても素晴らしかったのは、ステージの周りを彩るプロジェクションマッピング!!
半円形をした、特徴的なステージを目一杯に使っていて、ステージを見ればよいのか、映像を見ればよいのか......。
目移りして困ってしまいました(笑)

昭乃さんの作り出す幸せな空気を思いっきり吸い込んだような、幸せな気持ちが帰ったあとも続くライブでした。

投稿者 utsuho : 23:18 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ

2016年8月 7日

ZABADAK 吉良知彦 ~katami wake~

2016年7月3日、ZABADAKの吉良知彦さんが急逝されました。
30周年記念ライブの第弐夜の時に体調不良で倒れた吉良さんですが、休養を経てから、小さなライブハウスでのユニット活動も充実させて、ますます精力的に活動していた矢先の訃報でした。
聴きたい時にふらりと聴きに行けると思っていたものが、突如として手の届かないところへ行ってしまったことを、まだうまく受け入れることができていない気がします。

そんな中、演劇集団キャラメルボックスのご厚意により、サンシャイン劇場で吉良さんとのお別れの会が行われることとなったので、ひとつの区切りになるだろうと参加してきました。

会場入り口には、献花台ならぬ献音台が置かれていました。
用意されたトーンチャイムで、遠いところへ行ってしまった吉良さんに音を捧げます。

お別れの会の第一部はPAやデザイナーなど、スタッフ達のトークから始まります。
いろいろと面白い話の中でも、一番面白かったのは「Remains」のジャケット写真の話。
アンモナイトの化石が置かれていたのは、なんと歌舞伎揚の缶とのこと。
そしてその事実を吉良さんは知らないという...。
そんな組み合わせであの素敵なジャケットを作ってしまうとは、恐るべしです。

楽しい時間はあっという間に過ぎて、総合司会の猛烈なプレッシャーのもと、第二部のアーティスト達のトークコーナーに代わります。
ここで衝撃的だったのは、酔っ払って床をごろごろと転がる吉良さんに、新居昭乃さんが「このクソオヤジッ!」と言ったということ。
あの昭乃さんからそんな言葉を引き出すとは...。
吉良さんの話となると、皆さんやっぱりお酒の話が多かったですね。
小峰さんが不在の時には、吉良邸で飲み明かしていたとか。

第三部では光田康典さんや、小野賢章さん、石川由依さんなど吉良さんに縁のある方々が一言ずつメッセージを読み上げました。

そして最後は演奏と合唱。
「光降る朝」、「Tears」を一緒に歌ったときに、不意にこみ上げるものがあり喉が詰まってしまいました。
あらためてZABADAKの歌詞の力に触れて、初めて吉良さんがいないという現実が押し寄せてきた気がします。
これだけの歌詞を持つ希代の音楽に出会えた幸運に感謝の気持ちでいっぱいになりました。

そして、ZABADAKを代表する曲「遠い音楽」。
この曲は、小峰さんが歌詞をつけたところ、ボツになったのだというエピソードもありました。
一緒に歌うアーティストを次々と呼んでいく中、上野洋子さんの名前も呼ばれました。
「えっ!?」と思う中、ステージに上がり小峰さんと抱き合う上野さんの姿がありました。
このシーンを見られただけでも、長年の思いが昇華されるようでした。

観客のみんなが一緒に歌えるように歌詞がスクリーンに映し出されていたのですが、なんと歌詞のページを飛ばして表示されるというハプニングもありました。、
ZABADAKのお約束は吉良さんがいなくても忠実に守られます。いや、もしかしたら吉良さんがいたのかもしれません。

そして、最後はZABADAKの名曲「Poland」。
客席でリコーダーを吹いていた人たちも、小峰さんの手招きでみんなステージに上がり、壮大な演奏でした。

小峰さんと吉良さんは、「ZABADAKはこれまでずっと流行ったこともないけれど、だからこそみんな自分で選んでZABADAKの音楽を聴いてくれているというのはありがたいことだ」という話をしていたのだそうです。
逆に私にとっては、選べる音楽の中にZABADAKの音楽があったこと、それを見つけることができたことで大いに魂が救われました。
きっとここに集った800名やここに来られなかったたくさんの方々の魂も、ZABADAKの音楽によって救われてきたと思います。
吉良さん、本当にありがとうございました。

来年には、吉良さん不在での31周年記念ライブが予定されているとのこと。
きっととてつもなく素晴らしいライブになることでしょう、今から楽しみにしてます。
小峰さん、これからのZABADAKをよろしくお願いします。
そして、この会を開くにあたり、尽力してくださった劇団キャラメルボックスの皆様、本当にありがとうございました。

ZABADAKの音楽は吉良さんがいなくなっても続いていくし、我々のような草の根でも続けていきたいなと思いました。

会場で配られた、「いつまでも あなたのこころに 吉良知彦の音楽が ひびきますように ZABADAK 小峰公子」との言葉の添えられたポストカードと、そして「音」のマスターテープの切片。
タイトル通り本当の「形見分け」でした。
吉良さんの見つけ出した音楽と一緒にこれからずっと大切にしていきたいと思います。

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2016年3月26日

新居昭乃ライブツアー2016 / Little Piano Tour 住吉神社能楽殿

今年は、新居昭乃さんのデビュー30周年ということで、Little Piano Tourも例年より多くの会場をまわっています。
どこの会場も昭乃さんの歌声と合いそうな魅力的な会場なのですが、中でも博多公演は筑前国一之宮住吉神社の能楽殿で行われるということで、他とは違った昭乃さんの魅力に出会えそうなので、行くことに決めました。

まずは、住吉神社へお参り。
住吉神社は、すっと澄んだ空気が満ちている神社でした。

能楽殿は、木造で質素なつくり。
雨風を避けるために室内になっているものの、能の魅力を引き出せるよう極限まで屋外での鑑賞に近づけているようでした。

ライブは「Adesso e Fortuna」からスタート。
洋の東西の違いはあれど、さながら吟遊詩人の歌のような中世的な趣は、この会場の雰囲気によく合います。
昭乃さんは少し緊張していたのでしょうか、歌詞の間違いが多かったのがちょっと残念でした。

昭乃さんのお母さんは博多在住とのことで、今回の会場にいらしていました。
「ロゼ・ルージュ」は、昭乃さんのお母さんのお気に入りの曲だそうです。

続いての「Reincarnation」、昭乃さん一人だけのステージなのに、重層的な歌声に包まれているようでした。
ここらへんから、昭乃さんの調子が出てきました。
それにしても、Goddess in the Morningの再臨、ないかなぁ...。

今回のLittle Piano Tour、各公演でアルバム1枚をまるごと演奏しているのだそうです。
ここでは、「そらの庭」の演奏でした。
「あれ? そらの庭......で合ってましたっけ?」と言う昭乃さん、かわいいなあ。

なかなか聴けない「仔猫の心臓」も、演奏されました。
救いのない歌で好き嫌いわかれるところではあるのですが、こういうところに切り込んでいく歌詞は、昭乃さんの本領でもあります。

このアルバムには好きな曲も多いので、嬉しい限りです。
その中でも、なんといっても、この会場で聴く「OMATSURI」です!!
折りしも時は黄昏時、しんしんと降りてくる冷気を感じながら聴くこの曲は、ここでしか体験できない素晴らしいもので、博多まで来た甲斐がありました!

フランスによる核実験のニュースを聞いて書いたという「アトムの光」。
この歌詞のどこまでも透き通った鋭さと、張り詰めた歌声に、気づいたら涙を流していました。

童話に出てくるような、暗い森をイメージさせる「妖精の死」。
昭乃さんがどういう歌を歌いたいかと考えたときに、こういうダークなファンタジーを歌いたいと描いた曲で、九州から上京してきた寺嶋民哉さんのところへ通うようにして作った曲だそうです。

アルバム一枚を通しての演奏、最後は「Little Edie」を歌い上げて終了。
アンコールに「虹色の惑星」、そして最後は昭乃さんから「虹」をいただきました。

昭乃さんは一度デビューしたものの商業的な音楽になじめず、自身の活動としては10年ほど間があいています。
「そらの庭」は、そうした殻をやぶって、昭乃さんの描きたかった世界を表現した初めてのアルバムとも言えます。
今回のライブでは、昭乃さんのそうした想いを話してくれました。
今では「幻想系の始祖」なんて呼ばれることもあるそうですが、それまでどこにもなかった音楽で支持を得るようになるには、相当な道を切り拓いてきたことと思われます。
昭乃さんはそうした経験をもって、「迷うことがあったら、自分に光が差してくる方に向かうといいよ」と言ってくれたのが、心に残りました。

懐かしい歌を聴きながら、渋谷のEgg-Manでのライブからベストアルバム「空の森」のリリース、そして待望の新作「そらの庭」発売といった頃の、必死で追いかけていた時のことを思い出していました。

昭乃さんの音楽に出会えたこと、ここまで聴き続けてこられたこと、そしてこれから先に昭乃さんが見せてくれる世界のすべてに感謝です。

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2016年3月21日

ZABADAKライブ / 30周年記念演奏會 第弐夜

ZABADAK30周年記念演奏會 第弐夜。
とてつもない熱量が渦巻くような、なんとしても書き留めたい、と思うライブでした。
記憶違いのところも多々あるかと思いますが、それはご容赦ください。

連休を独りで出歩きっぱなしというのもいかがなものかと思い、当初は第壱夜のみ参加する予定でした。
ところが、前日の第壱夜がとてもとても良すぎて、「これは第弐夜も聴かないと後悔する」との思いで急遽当日券を取ることにしました。
当日券、あってよかった!

立ち見ゾーンは舞台に向かって右手後方。
ここからなら藤井珠緒さんがよく見える!と思ったら、第弐夜に珠緒さんはいなかったのでした、残念...。

まずは、吉良さんと小峰さんの二人きりで登場。
記念すべき30周年の第弐夜は「光の庭で」から幕を開けました。

ここで斎藤ネコカルテットが舞台に上がり、吉良さんと小峰さんはいったん舞台を降ります。
ネコさんが恥ずかしそうに「前座ですから...」とつぶやいた後、始まったのが「桜」。
この、心のざわつく季節に、あの「桜」ですよ。

弦の響きに心奪われるような「桜」が終わった後、再び吉良さん、小峰さんが登場。
「光の庭で」「マーブルスカイ」と続いた後、なんとここで「EASY GOING」!
ライブ終盤の定番曲がこんなに早く登場するとは、思ってもいませんでした。

演奏後、ネコさん達はNHKの仕事へと戻っていきました、とさ。
なにか、いろいろとおかしいですね。


第二部は日比谷カタンさんの登場。
張り出しステージにスポットライトが当たります。
そういえば10年前にここで行われた上野洋子さんのソロでは、あそこで暗黒舞踏が行われたな...、あの張り出しはキワモノ専用ステージなのか...。

なんて考えているところに始まったのは「遠い音楽」。
と思いきや、早送りのように歌詞が曲がワープしていく。

ナンナンダ、コレハ!?

これは、あれだ。「大人が本気で遊んでいる」ってヤツですね。
あふれ出るZABADAKへの愛と、次々と繰り出される超絶技巧で笑いが止まりませんでした。


15分を超えるノンストップ抱腹絶倒のカタンステージが終わったあと、いよいよ第三部!
というところで、あわただしく向島ゆり子さんがステージに出てきて「システムトラブルがあったので、いったん休憩にします」とのこと。

20分くらい経過したでしょうか...、ようやく照明が落ちてメンバーが登場。
ところが、どこか様子がおかしい、というか、肝心の吉良さんが出てこない。
小峰さんの口から、吉良さんが体調を崩して病院へ向かったことが告げられます。
「このようなことになってしまい、申し訳ありません」「この埋め合わせは必ずします」という言葉を聞いて、今日のライブはここで終わりだと思いました。
ただ、小峰さんは続けます。
「これだけのメンバーが集まったことだし...」と。
「どこまで行けるかわからないけれど、やれるところまでやりましょう!」と。


大きな不安を抱えながらも、第三部が始まりました。
ケレン味たっぷりの衣装をまとった伊藤ヨタロウさんが全身で「Peculare Night」を表現します。
この人、いったい幾つなんだ?

曲の前にメンバーが簡単に打ち合わせをして、それぞれの担当を確認しあっていたものの、そこから表現される音は、まったく違和感のないものでした。
超絶技巧を誇るメンバーが、さらにしっかり曲を理解しているからこその芸当でしょう。

清浦夏実さんが歌うのは、もちろん「旅の途中」。
やっぱり、ここで吉良さんがいないというのはとても悲しいことでした。
大きな世界の広がりを感じさせる曲だけに、一番、吉良さんの不在が大きかった曲だったかな。
思えば、清浦さんはこのステージで唯一「普通のアーティスト」だった気がします。

続いて、Darieさんこと濱田理恵さんは煌びやかなサリーで登場。
Darieさんバージョンは、とても婀娜っぽくて人間臭さのある「Deir Paider」でした。

種ともこさんも今年が30周年ということで、新居昭乃さん、ZABADAKと30周年の同期だそうです。
昭乃さんにも声をかけたけれど、この日は自身のライブがあるため来られなかったとのこと。
いや、このメンバーの中に昭乃さんもいたらと思うと鼻血出ますがな(笑)

誰のときだったかな、ゲストの方に「30周年おめでとう!」と言われて、小峰さんが一瞬「いや、私は...」と言いよどんだ後、「ありがとう!」と応えていたのが印象的でした。
ZABADAKには途中から参加した小峰さんだけれど、「ZABADAKとして」この場に立ってお祝いを受けるべきだと決めたのでしょう。

「妖精のような」種さんの次は、「妖怪のような」いでたちの白崎映美さんの登場。
いや、山姥かな。
コブシの効いた「はじめてうたったうた」を披露してくれました。

杉林恭男さんは「Hervest Rain」を歌いたい!と希望したところ、重役会議(笑)で却下されてしまったそうです。
そこで、杉林さんはデモテープを送りつけて、「こういう風にやりたい!」とアピールして、重役会議を通したのだそうです。
吉良さんのコーラスパートは小峰さんが代役。「やったことないけど」と言いつつ覚悟を決める小峰さんの漢ぶりが頼もしかったです。
その、杉林さん渾身の「Hervest Rain」。
電子音と尺八と。
ロック調、というのでしょうか(上手い言葉をしらないけれど...)、明らかに原曲とは解釈が違うのだけれど、確かに豊穣の雨の歌でした。

原マスミさんは、向島ゆり子さんの方に振り向いて「ゆり子、適当に音つけて」と言うと、やおら「注文の多い料理店・序」の朗読を始めます。
いや、朗読ではないですね。
まるで語り手が自分の言葉で語っているようでした。
その言葉がたまたま「注文の多い料理店・序」とまったく一致しただけだったということです。

まだまだ大きな難問が立ちはだかります。
次の曲は吉良さんが弾く予定だったため、メンバーの誰も譜面を持っておらずコードがわからないということ。
「しょうがない、アカペラで...」という声も聞こえる中、今度は難波さんから驚きの言葉が出てきます。
「業務連絡。お客さんの中に「小さい宇宙」のコード譜をお持ちの方はおりませんでしょうか」
おいおいおい...と誰もが思う中、しばらくすると客席からステージへタブレットが渡されます。
逆の意味で、おいおいおい...と。
「ZABADAKはファンの育て方を間違った」と言った難波さんだからこそ、ファンのことをよく理解してあの言葉が出てきたんでしょうね。
問いかけられたとき、私も、「6対4くらいの確率で誰か持っているだろうな」と思いました(笑)

ステージ上の皆さんで、顔を突き合わせてタブレットを確認。
その様子はまるでうみねこの皆さんみたいでした。

そして、種さんがキーボードを担当して原さんの「小さい宇宙」が始まります。
少しずつ音が重なっていくようで、静謐で、優しい歌でした。

終わりもみえてくるころ、Darieさんのリコーダーと、小峰さんのアンデスから始まった「二月の丘」。
そして、「五つの橋はカタンさんが弾ける!」ということで、満場のカタンコールに迎えられて、再び日比谷カタンさんの登場。
このライブは、カタンさんのZABADAK愛に支えられたところが大きかったですね。
もちろん、満場の合唱です。

この素晴らしいライブの最後は「相馬二遍返し」。
ライブで聴くとムチャクチャ格好いい曲!!
躍動する小峰さんが神々しいまでに素敵でした。
あいにく聴き込んでいなかったので、合いの手で入れず...後悔。
この最高の熱量の渦に一緒に入りたかったよ...。

吉良さん不在の中で、メンバーを信頼しきってライブ続行を決意した小峰さん、小峰さんの信頼にたがわぬ力量を見せつけたメンバーの皆さんによって、ライブは成し遂げられました。
最後には、涙ぐむ小峰さんの口から、吉良さんに大事無いことを告げられて、幕を閉じました。

ZABADAKがこれまで築き上げてきた世界の重厚さで圧倒するような、間違いなくずっと語り継がれるステージでした。
のめりこむように、全身を耳にして音を感じ取って、終わった後も気の抜けたようで興奮しているような不思議な感覚がずっとしていました。

吉良さんにはゆっくり休んでいただいて、快復されることをお祈りいたします。

吉良さんの体調が戻ったら、きっと、小峰さんの「この埋め合わせは必ずします!」という言葉が果たされると思います。
いまから断言してしまいますが、そのライブはZABADAKの最高峰ですよ!

==========
ZABADAK Officialより セットリスト
1. 遠い音楽 / 吉良知彦(Gt.,Vo.)・小峰公子(Cho)
2. 桜 / 斎藤ネコカルテット[斎藤ネコ(1st.Violin)、グレート栄田(2nd.Violin)、山田雄司(Viola)、藤森亮一(Cello)
3. 眠れない夜のうた / 斎藤ネコカルテット・小峰公子(Vo.)
4. 光の庭で / 斎藤ネコカルテット・小峰公子(Vo.)・吉良知彦(Cho)
5. マーブルスカイ / 斎藤ネコカルテット・吉良知彦(Gt.,Vo.)・小峰公子(Cho)
6. EASY GOING / 斎藤ネコカルテット・吉良知彦(Gt.,Vo.)・小峰公子(Cho,tamb)


【第二部】日比谷カタン コーナー

7. 「ZABADAK」メドレー / 日比谷カタン(Gt.,Vo.)
遠い音楽, EASY GOING, ブランシェ, Deir Paidir, 満ち潮の夜, Around The Secret, 星狩り, 美チャンス~妖しい輪舞, Psi-trailing, 遠い旅の記憶, POLAND, オハイオ殺人事件, 水の踊り, 桜, 二月の丘, 旅の途中, Harvest Rain, Wonderful Life, わにのゆめ, 夢を見る方法, ガラスの森, 五つの橋(約15分ノンストップメドレー・全22曲)


【第三部】ZABADAK+Guest Vocals

ZABADAK:小峰公子(Vo.Acc.)、難波弘之(Key.)、楠均(Dr.)、吉田誠(B.)、向島ゆり子(Vln.)、鬼怒無月(Gt.)、伏見蛍(Gt.)
8. Peculiar Night / 伊藤ヨタロウ(Vo.)
9. 旅の途中 / 清浦夏実(Vo.)
10. Deir Paidir / 濵田理恵(Vo.,鍵盤ハーモニカ)
11. かえりみち / 種ともこ(Vo.)
12. はじめてうたったうた / 白崎映美(Vo.)
13. Harvest Rain / 杉林恭雄(Vo.尺八)
14. プロロオグ~宮沢賢治『注文の多い料理店』序.~小さい宇宙 / 原マスミ(朗読,Vo.)、種ともこ(Key.)、日比谷カタン(Gt.)
15. 二月の丘 / 濵田理恵(リコーダー,Cho.)、小峰公子(Vo.)
16. 五つの橋 / 日比谷カタン(Vo.,Gt.) 
17. 相馬二遍返し / 杉林恭雄(尺八)、小峰公子(Vo.)

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2016年3月20日

ZABADAKライブ / 30周年記念演奏會 第壱夜

ZABADAKの30周年記念ライブへ行ってきました。
30周年というと......私が聴き始めてからちょうど20年ということになります。
いや、びっくりですね。
ちょうど発売されたばかりの「桜」がCDショップに平積みされていたこと、アルバム「遠い音楽」を買ってきてプレイヤーにかけた時の衝撃、今でも覚えています。

会場は、鶯谷の東京キネマ倶楽部。
ここに来るのは、10年前の上野洋子さん20周年ライブ以来です。

スタートは「秋」。
予告のあった「夏秋冬春」の一挙演奏です。
ZABADAKというと、一番のインパクトを真っ先に持ってくるというイメージがあります。
「冬」での藤井珠緒さんのシェイカーやパーカッションがすごく良かった......。

「鏡の国」、「BIRD'S ISLAND」......ZABADAKプログレナンバーの名作を、惜しげもなく繰り出してきます。
五臓六腑に響き渡る音色です。
そして、「子午線のマリア」がこれまた格好良かった!
楽曲もそうだけど、演奏陣の素晴らしいことと言ったらないですね。

小峰さんが、「洋子ちゃんの曲、歌ってもいいよね」と言った「砂煙りの街」。
アーティスト達の間にはこちらには計り知れない複雑な関係が渦巻いていて、常に上野さんの影と向き合わなければいけない小峰さんの心情もいかばかりかと思いますが、ファンとしてはいい曲なのだからお蔵入りさせてしまうよりもいろいろな方に演奏されている方が断然嬉しいです。

吉良さんが「全然、古くないね」とつぶやいていたのも印象的でした。
ZABADAKの音楽は、「新しい」「古い」という時間軸から抜け出した、「ZABADAKの音」ですよね。

「ガラスの森」の5拍子、観客ももちろん完璧な手拍子で応じます(笑)

ZABADAKライブの最後といえば「EASY GOING」。

そしてアンコールは、吉良さんと小峰さんの二人で「遠い音楽」。
すっと、やわらかい歌の世界に入り込んでいきます......、と、突然鳴り響く鏡の国のギター。

な、何事!?

どうやら吉良さんがフットスイッチを押し間違えた模様。
こ、ここでくるのがZABADAK流か...。
すかさず小峰さんが客席に向かって「忘れろ~」というフォロー。
夫婦の呼吸もばっちりです。

気を取り直して、「遠い音楽」を歌い上げて第壱夜の終了。

ZABADAKの30年、最高のメンバーで最高の曲を聴かせてもらいました。
これだけのものを見せてくれるZABADAKというアーティストに出会えてよかった、と感謝したくなるライブでした。
1日だけの参加でいいか...なんて思っていたけど、そういう訳にもいかないな。
第弐夜の当日券、あるかなあ。

第壱夜セットリスト(ZABADAKオフィシャルサイトより)
1.秋 [Лето јесен зима пролеће - 夏 秋 冬 春 -(2013)]
2.冬 [Лето јесен зима пролеће - 夏 秋 冬 春 -(2013)]
3.春 [Лето јесен зима пролеће - 夏 秋 冬 春 -(2013)]
4.夏 [Лето јесен зима пролеће - 夏 秋 冬 春 -(2013)]
5.光降る朝 [光降る朝(1996)、宇宙のラジヲ(2007)]
6.樹海-umi- [平行世界(2009)、Platinum(2011)]
7.鏡の森 [ブリザード・ミュージック(2001)、20th(2009)]
8.グスコーブドリの伝記 [賢治の幻燈(1995)、光降る朝(1996)]
9.BIRD'S ISLAND [COLORS(2001)]
10.コフルヤマ [ここが奈落なら、きみは天使(2015)]
11.子午線のマリア [SIGNAL(2002)、Platinum(2011)]
12.ブランシェ [WELCOME TO ZABADAK(1987)]
13.砂煙りの街 [飛行夢(1989)、GOLDEN BEST(2011)]
14.ガラスの森 [銀の三角(1987・LP)、WATER GARDEN(1987)]
15.EASY GOING [WELCOME TO ZABADAK(1987)、他]
(アンコール) 遠い音楽 [遠い音楽(1990)、STORIES(1999)、宇宙のラジヲ(2007)、他]

投稿者 utsuho : 23:26 コメント (0) トラックバック (0) | ライブ